表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
24/688

リコの村

チェコたちは、森の入り口の塩杉の巨木を越え、森の外に出た。


とはいえ、古井戸の森は、二つ角山脈の二つの山、黒龍山と赤竜山に挟まれているため、しばらくは山道であり、森林が続く。


ただし、塩杉の外には道があり、馬車で入れるようになっている。


その森の脇に、無造作に一台の荷馬車が乗り置かれていた。

荷馬車と言っても四輪の車の上に、木の板で荷台を作っただけのものだ。


チェコは荷物を荷台に積み込むと、御者席に座った。

キャサリーンは隣に、パトスはチェコの膝の上に座った。


チェコは、スペルカード、駆動、を馬車の前に縦に貼った。

馬車が、軋みながら動き出した。


森の道を二十分ほども走ると、森林を抜けて、広い水田地帯が見えてくる。


その道をしばらく進むと、はるか前方には大河、遠吠え川が滔々と流れていた。

リコの村は、その川と平行に走った先、小さな丘の上だった。


馬車を、遠く木立の上から見つめる、三つの影があった。


「あいつら、村に入ったわ。

確か…リコとかいう寒村よ」


少女が、手に持った茶色い手帳を見ながら、言った。


「ねぇ、プルートゥ。

今度は、あたしに戦らしてくれるんでしょう?」


少女の頭には、体を覆うほどの大きなハットが被られていた。

赤茶色い革製の、風雨にさらされて色が抜けたようなハットだ。


彼女は、高木の枝に何気なく立っていたが、履いているブルーのスエード靴は、厚底で、ヒールも高い。

青と黒のグラデーションのドレスを纏い、手には可愛らしい日傘を持っていたが…。


ドレスから出た、手も足も、そして顔までもが、左目だけを残して、真っ白い包帯で覆われていた。

包帯から唯一覗いた左目は、ぱっちりと大きく、睫が長く、影が深く、そして…。


金色の瞳をしていた。


「待ちな。

村を襲ったりしたら、憲兵ざたになっちまう。


おそらく、奴ら、明朝早くに出発するはずだ。

そこを狙う。

分かったな」


プルートゥは、白い歯を剥きだして笑った。


軍人風の帽子を被り、黒いマントで全身をくるんだ大男だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ