エクメル
逃走、と言われても…。
チェコの目前に、飛骸骨と負債の天使ガルムが迫っていた。
「くそぅ、
とにかく、怨霊とダンウィッチの煙、召喚!」
チェコは叫んだが、打ち消すようにエクメルが、主、と言った。
「アースが、五つ、あるのである」
えっ、と見上げると…。
「チェコ、ボクノ力モ使ッテ!」
「あ、りぃんか!
ありがとう、りぃん。
じゃあ、山猿、召喚!」
チェコは叫び、さらに言った。
「皆、ごめんね。
痛いかもしれないけど、互角の相手と戦って欲しいんだ!
山猿は、あの疫病の粘菌をやっつけて!
それで、ダンウィッチの煙は、飛骸骨を、なんとか倒して!
怨霊は、俺に力を貸して、あの天使と戦って!」
ウォー、と言うような音を、チェコの召喚獣たちは上げ、散って行った。
「主、負債の天使ガルムは、主の敵うような奴では無いのである。
今、逃げなければ、必ず命を落とすのである」
チェコは、負債の天使に、向かって飛んだ。
「エクメル。
心配してくれて、ありがとう。
でもね、エクメル。
逃げるのが恥だ、なんて大物ぶった心は、俺には元々無いんだけどさ。
リコ村の只のいじめられっ子だからね。
でもさ。
今、ちさちゃんも、ウェンウェイさんも戦っているんだよ。
ここで俺が逃げ出したら、俺の友達に、ガルムが襲い掛かることになるんだ。
だからさ、今は、ちょっとだけ、俺に力を貸してくれないかな?」
エクメルは黙った。
「よろしい、チェコ。
それならば、我エクメルは、能力を五十%UPして戦闘モードに入ることにする。
この間、我エクメルは、三発ほど我の裁量で暗黒波を撃つ事が出来る。
だが、そのためには、敵を射程五メートルに入れねばならない。
なんとか、それを達成する事だけを考えるのだ」




