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スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
234/688

召喚

「ブーフ!」


チェコは驚き、叫んだ。


「陰狼がいないと、僕は無能とでも思ったか?

スペルランカーなんかより、ずっと自在に魔力が使えるんだ!」


言いながら、慌てて飛んで逃げるチェコに向かって、光球を発射した。


確かに…。

アースを浮かべずにスペルを操っていた。


チェコは、無数に伸びた髪の毛で、小さな弧を描いて、逆にブーフに接近すると、


「雷!」


と、スペルを撃ち込んだ。


金色の閃光が暗闇を走り、ブーフに命中する。


だが、当たっただけで、何も起こらなかった。


ブーフは、ギャハハ、とあざけ笑い、


「飲み込みの悪い奴だ。

そういうのは効かない、と教えただろうが!」


「くそー。

蜂蜜を被ってるから燃える、と思ったのに!」


「蜂蜜、燃エルノ?」


「そうさ。

蜂の巣も、良く燃えるんだよ」


言いながらも、チェコは次の手を考える。


だが、ブーフが叫んだ。


「飛骸骨、

疫病の粘菌、

負債の天使ガルム、

奴等を擂り潰せ!」


闇の中、鉛のように黒い天使と、羽根の生えた骸骨が、どろり、と浮き出してきた。


また、木の枝には、赤紫色の粘菌が、するすると枝を走って来る。


「くそぅ、

スペルを使ってきた!」


チェコは叫んだ。

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