表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
232/688

炎上

「クワッ!」


アヒルのような叫びを残し、チェコは燃え上がって、哀れに地面に落下していく。


「けっ…」


ブーフは、喉を鳴らした。


「子供を殺す、なんて気色の悪い事、させやがって…」


と痰を吐いた。


ブーフは、好んで魂を売った訳では無かった。

弟を助けるには、それしかなかったのだ。


子供に手を上げるような大人は嫌いだったし、まして無邪気な子供を殺すなんて趣味じゃない。


だが、主命を違える訳にはいかなかった。

どのみち、誰かを殺す、と言うことは、付随して、そいつの身近な子供たちを不幸にしている、という事に他ならない。


まぁ、どっちにしろ、僕の魂は闇の天使の玩具、なんだけどな…。


呟きながら、地面の死骸を見て、眉を潜めた。


燃え方が、やけに早い。

人が燃える臭いも無かった。


はっ、とブーフが顔を上げるのと、木の枝に髪の毛でぶら下がったチェコが、


「馬鹿ブーフ!

これでも喰らえ!」


と、叫びながら蜂の巣をぶつけるのは、同時だった。


チェコとりぃんは、身代わりの体を、松の木の枝を括って作っていたのだ。


ブーフの顔面に、大きな蜜蜂の巣が当たり、砕けた。

怒り狂った無数の蜂が、ブーフに襲いかかる。


だが…。


ブーフは、雑に蜂を、手で払った。

全くの無傷たった。


「小僧、なめた真似を!」


陰狼が吠え、チェコに掴みかかるが、しゅう、とチェコは、髪を短くして、闇に消えた。


「ひゃあ、危なかったぁ!」


と、言いながら、チェコとりぃんは、大笑いをした。


悪戯は、成功しても、失敗しても面白い。


「ブーフの奴、怒ってたね」


チェコは、アハハと、腹を抱える。


「奴ノ服、蜂ノ巣デ汚レタネ!」


ククク、とりぃん、も肩を震わせる。


「蜜蜂だらけだよ」


「ベタベタ!」


枝の上で転げるように笑うが…。


ドーン。


音が響いた。


ドーン、ドーン、とチェコたちの方に、音は迫っていた。


「うわっ、奴ったら、一本づつ木を折りながら、近づいて来るよ」


「奴ハ、ボクラノイル場所ガ、判ルラシイネ…」


チェコとりぃんは、真顔で作戦を考えた。

今年も一年、ありがとうございました。

来年も、引き続き、よろしくお願いいたします。


新年は、たぶん四日頃から再開します。


良いお年を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ