豚犬
陰狼は、巨大な脚でチェコを踏み潰そうとした。
が、チェコは軽やかに、一跳びで交わす。
「なに!」
殺し屋ピエロ、ブーフが驚いた。
「貴様!
何か憑いているのか?」
あ、そうか…。
と、チェコは気づいた。
まだ、りぃん、てぃむるが、俺と重なったままなんだ!
チェコは、ニヤリ、と悪い笑いを見せて、
「へへっ、憑いているのさ、凄いのが、ね。
お前なんか、ヘシ折っちゃうぜ!」
精一杯に虚勢を張って見せたが、殺し屋ピエロ、ブーフは、逆に、ニタッと笑い、
「面白そうな遊びじゃねーか、小僧。
そんなに僕と遊びたいなら、付き合ってやるぜ!」
言うと、ウェンウェイを、ぽい、と放って、陰狼はチェコにパンチを放った。
チェコは、数メートルを跳んで避けるが…。
「ど…、どうしよう、ちさちゃん…」
内心は狼狽えていた。
ちさは、うーん、と腕を組み、考える、と。
「もしかして、、ウェンウェイさんなら、、魔法陣を書けるかも、、」
チェコの頭に、閃光が過った。
「そ、それだよ、ちさちゃん!
ちさちゃん、ウェンウェイさんのところに行ってくれる?」
「判った、、チェコはしばらく、、敵を引き離して、、」
ちさが、ピョン、とチェコの肩から跳び降りた。
チェコが叫んだ!
「な~んだ。
見えないから、どんな怪物なのかと思ったけど、陰狼なんて、只デカいだけのノロマな犬じゃないか!
ブーフも間抜けだな、
こんな豚犬に魂を売ったりしてさ!」
声の限りに笑って、チェコは背後に跳んで行った。




