悪いヌチ
「ナンデ冥府…、オニイチャンヲ拒ムノ?
ボクタチガ、外国人…、ダカラ?」
真っ黒な少年は、顔中を涙で濡らして、チェコを見つめた。
チェコもオロオロと…。
「なんで拒むんだろう…。
お金を奪った村人が悪いんでしょう?」
ちさは、チェコの肩の上で、首を傾げていたが…。
「、、たぶん、、復讐を、、し過ぎた、、。
家に火を着け、、おそらく、、幼い子供や赤ちゃん、身重のお母さんや、動けない病人、老人を殺した。
それらは、現世と冥府の間にいる者、、神様からの預かりもの、、、。
神様のものを殺すのは重罪、、、。
お兄さんは、、やり過ぎてしまった、、」
弟は、声を震わせて、叫んだ。
「奴ラ、火ヲツケタ!
ダカラ、火ヲツケ返シタ!
ソレダケ…。
悪クナイ…、ナニモ悪クナイヨ…」
チェコとちさは、弟の涙を見つめる事しか出来なかったが…。
クスクス…、と小さな笑い声が、木立の上から、下から、聞こえてくる。
「ワルクナイノヨ…
ワルイノハ村人」
「ソウヨ…
復讐ハ、トウゼンノコト…
殺スノヨ…」
クスクス…、と笑い続ける。
「ちさちゃん?」
「、、悪いヌチ、、夜の子供、、」
「さ…、山人…」
チェコは叫んだ。
そう言えば、来ていたのを忘れていた。
「どうしよう、ちさちゃん…」
「夜の子供は、、直接、、人間に手は出せない、、。
だから友達のフリをして、、その人の秘密を知ろうとする、、
チェコ、、あなたが、弟、、を守るしか、、ない、、」
えっ、とチェコは叫んだ。
「どっ、どうやって?
奴ら、オバケだよ?」




