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スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
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ウサギ三点セット

「ハーハッハ!

それは、教えられないなぁ」


「単純なことよ。

蛇は、目で見るのではなく、体温を感知して攻撃するの。

なるほど、毒デッキとは考えたわね。

一応、コンボのていは整ってるじゃない」


霧に向こうで、タッカーが喜んでいるのが、ありありと伝わってくる。


「そうさ!


僕はこのデッキで、世界にタッカー・トラッテーロの名を刻み込むのだぁ!」


チェコは叫んだ。


「召喚、草原ウサギ、

そして、草原ウサギ、ならびに!」


ふんっ! と鼻息が霧の中に響いている。


「ウサギ専用強化アイテム、

ウサギの鎧!」


「ウサギの鎧?」


「へっへー。

キャサリーンおねーちゃんから貰ったウサギ強化三点セットの一つだよ。

タフネスを二上げた上に、パワーも一上がるんだ!」


「聞かないアイテムだなぁ…」


「チェコ君に会うまで、欲しいって人はいなかったわねぇ。

でも、ウサギ専用にすることで、一アースでこのスペックを実現したのよ」


キャサリーンは、熱心に語った。


「せめて犬にすれば、もっと売れるんじゃないの?」


「犬は、もう存在しているのよぅ」


キャサリーンは、霧の中で深い溜息をついた。


「まあ、いいけど。

殴らないよね?」


「殴れないよぅ…」


「それでは僕は、召喚。


毒蛇、毒蛇、毒蛇だぁー!」


「ええっー!

一気に四毒蛇ィ?」


「さっきのターンは、アースを貯めているからね。

さて、アタック!」


ぐぁぁぁ!

チェコの叫びが、霧の中に響き渡る。


「やられたぁ…、

何か…、目がかすむ気が…。


四毒蛇って事は、毒ポイントが…、えっと、五?」


「いやいや。

射程があるから、三毒蛇は攻撃していないよ。

だからポイントは二だ。

二毒蛇」


タッカーは、霧の中で、せっせと親切に解説する。


「だけど…。


ハッハッハ。

言っとくけど、次のターンで、僕は二つ頭を四回使うよ。それで決着さ!」


「え、もうキメちゃうの? もっと遊ぼうよぅ」


チェコは甘えるが、


「ダメダメ。

近所の子供のごっこ遊びじゃないんだから。

僕はプロのスペルランカーなのさ!」


「えー、残念だなぁ!」


「まー、これに懲りずに、ウサギデッキに磨きをかけてくれ。

次は大会で会おう!」


「うん、きっとだよ」


チェコは喜び、


「じゃあ俺、


ウサギの鉄爪。

パワー二UPで、タフネス一UPだよ。


そして、ウサギの兜。

パワー一UP、タフネス二Up。


さらに三点セットを全て装着したウサギには、ボーナスで、パワー二UP、タフネス二UP。

ならびに特殊能力。

ウサギはブロックされない!」


「へーウサギでもパワー七になると、馬鹿に出来ないなぁ」


「へへへ、凄いでしょ。


で、アタック」


「え…?」


「だから、アタック」


えぇ、と…、とタッカーは首を傾げた。


「…この霧の中、どうやって攻撃するのさ…?」


タッカーの問いに、キャサリーンが答えた。


「馬鹿ねぇ。

これだけベラベラ話していたら、耳の良いウサギには場所なんて丸判りよ」


「あー、ブロック、ブロック!」


「残念ーん!

ウサギ三点セットの付加した特殊能力でウサギはブロックできませーん!」


くぅー、とタッカーは悔しがったが、しかし、笑った。


「いいだろう、七ダメージ。

しかし次のターンで…」


「瞬間魔法、二つ頭!」


「ちょ…、待て!

君は確か、三アースしか使えないんじゃ…?」


「タッカー兄ちゃん、

俺だって、宝珠ぐらい持っているよ?」


「霧で見えない欠点が露呈したわね。

チェコ君は、最初から、ウサギの巣穴で毒蛇もブロックしていたのよ」


「うぎゃ~!」


タッカーの叫びが霧に…、響いている内に、霧は晴れていった。


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