表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
210/688

夕陽

「誰も悪く無かったかな。

お父上は、お前と母君を愛していたかな。

母君も、もちろんお前を大変慈しんでおられたかな。

だが、後から政治上の問題があることが判ったかな。

無論…。


そんなことは下らないかな。

だけど…。


人の世界は、下らなくとも、それじゃあ済まない問題と言うのも、たまにあるかな。


本物は、ただ大昔の些細な因縁に過ぎない事でも、それが一つの一族と、別の一族のこと、のように人間の単位が大きくなってくると、もう終わったはずの、大昔の些細な因縁が、とても大きな障壁になってしまう事も、あるかな。


そう…。

これは、単なる不運かな。

サイコロを転がせば、六が出る事もあれば、一が出る事もある。

お前は、たまたま一の目を引いてしまったかな。

だからダリアが、密かに国を脱出し、長い旅をして、このヴァルタヴァ皇国にたどり着いたかな。


しかし不運は、いつまでも続かないかな。

いつか、違うサイコロの目だって出てくるかな…」


まろびとは、赤すぎる夕陽を見ながら、ボソボソと言葉を綴った。


チェコは…。

ズズッと茶をすすり。


「…俺、本当は、捨てられたんだ、と思ってたんだ。

ダリア爺さんは、父さんから預かった、とか言ってたけどさ、でも、村の中でも一番貧しい暮らしだし、いつも虐められてさ…。

でも…。


今日は、とっても嬉しいよ…。

本当が判る、って、こんなに嬉しいものなんだな…」


チェコは、焼けたように赤い空を見上げて、声を上げて泣いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ