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小さき人
チェコは夢見るように、
「凄いなぁ、北の果ての氷の神殿、そしてツンドラに生きるドワーフたち。
いつか、行ってみたいなぁ…」
ほぅ、と溜め息をつきながら、想像を膨らませた。
「南の最果ては、とても暑いジャングルの国かな。
ここにも、小さき人、と呼ばれる、不思議な森の民がいるかな」
「小さき人!」
これは、チェコも聞いたことが無かった。
「小さき人は、誰にでも出会える者ではないかな。
探しても、決して見つからないが、何かの拍子に出会うことは、稀にあるかな。
この小さき人の住むジャングルには、砂の塔が建っているかな」
「え…
砂で、塔が作ってあるの?」
「これは、物の本に記されているだけで、小さき人も砂の塔も、誰も見たことはないかな。
このジャングルには、豹の何倍も大きい、熊のような猫がいるかな。
おそらく、ゴロタより怖いかな」
凄げー、とチェコは叫んでいた。
「ジャングル!
小さき人、そして砂の塔!
メチャクチャ面白い!」
チェコは、踊り出さんばかりに興奮していた。




