ドワーフ
「へぇ、エルフしか知らないんだ?」
チェコは、それほど大変なものだとは思っていなかった。
ただ、長い吊り橋がかかっているだけだと思っていたのだ。
「そもそもエルフとは、ただの人種ではないかな。
四里の吊り橋に限らず、古代の遺跡の近くには必ず、エルフや、エルフと意味的に似たような者たちが住んでいるのかな。
北方侯の領地にはドワーフがいるかな」
「へぇー。
ドワーフって、聞いたことがあるよ。
力が強いんでしょ?」
「体は大きいものは少ないが、皆、筋肉の塊かな。
北方侯フリンの軍が強いのは、このドワーフたちの精強歩兵のおかげかな。
そのドワーフの住む、北の国フィンには、氷の宮殿があるかな。
大地も凍り付くツンドラの果てに、作られた氷だけの宮殿かな」
「うぉー、凄げー!
俺、そーゆー話聞くの大好きなんだよ。
誰が住んでいるの?」
「おそらく、人間は住んでいないかな。
そもそも生き物は、皆、氷の塊の中で暮らしたりは出来ないかな。
これも太古の遺跡で、ドワーフは、これを守るかのように、土を掘ることすら出来ない凍てついたツンドラの地に住み続けているかな」
へぇー、とチェコは目を輝かせて、
「畑も作れないんでしょ。
どうやって暮らしているの?」
まろびとは首を振った。
「詳しくは知らないかな。
苔を食べる、ともいうし、海が豊かだ、とかいろいろ言われるけど、普通に考えたら、どうやったとしても暮らしずらいはずかな。
だが、彼らは、遺跡を守るように、そこに住み続けているかな」




