磔刑の魔女
まろびとは、痩せすぎの肩を上下させ、荒く息をしていた。
「こ…、このターンで、お前を屠る、かな…」
まろびとの場にいるのは、猫二匹と恨みの壺だけで、壺のカウワターは一しか貯まっていなかったが…。
「我命を糧にして、出でよ、磔刑の魔女、かな!」
まろびとの前に、どす黒い霧が渦巻き、地底から十字架が、競り上がって来た。
その古い、朽ち木の十字架には、少しまろびとにも似た、痩せすぎの女が磔にされており、物凄い凄惨な眼差しでチェコを見ていた。
「ひぇぇ!
ちょっと、これは怖い感じのが…」
チェコは、ビジュアルに、半歩、引いた。
「エ…、エクメル、あれって何…?」
チェコが、自分の胸元に囁いた。
「あれは、磔刑の魔女である」
「そこは知ってるよ!」
思わず、チェコは叫んだ。
「だから、どういうカードなの?」
「磔刑の魔女は、五/五の召喚獣なのである。
射程が三なので、召喚して、即、攻撃できるのだ」
チェコは慌てて、叫んだ。
「森のリス、木の実トークンを二つ使って、黒猫を攻撃!」
二体の黒猫が死に、チェコは新たに二、合計三の呪いカウンターを得た。
「磔刑の魔女、攻…!」
言いかけて、まろびとは言葉を止める。
チェコの場には唯一、タップしていない召喚獣がいた。
ハンザキ二号だ。
七/七のハンザキ二号は、無論ブロックするので、五/五の磔刑の魔女は死ぬ。
「…磔刑の魔女が死んだとき、五つの呪いカウンターを対戦相手に付ける、という特殊効果を持つ」
不意に、エクメルは、どうやらさっきの続きらしき解説を喋り始めた。
「えぇー?
なんで、今言うの!
黒猫、殺しちゃったでしょ!」
チェコは、ブチキレて叫んだ。