ゼロの価値
ひっひっひ、と、まろびとは笑い、
「暗殺者め。
俺を攻撃は出来ないかな!
俺は、呪殺、発動、
相手プレイヤーに、呪いカウンター一を付ける、かな…」
チェコは驚いた。
「えー、敵に直接、カウンターを付けられるの!」
「紫デッキの厄介な所は、呪いが豊富で多彩な事、である。
敵のタフネスをマイナス二、等と言う呪いもあるのである」
そんなムチャクチャな! とチェコは唸ったが、
「よし、それじゃあ、飛行の、怨霊、でアタック!」
まろびとに、空中に浮かぶ骸骨のような、怨霊、が襲いかかる。
だが、まろびとは、再び笑い、叫んだ。
「そこで恨みの壺、発動。
ダメージを受けたとき、恨みの壺に呪いカウンターを置く。
呪いカウンターは、次に攻撃を受けたとき、相手に移す事が出来る、かな!」
ひぇぇ! とチェコは叫び、まろびとは、ヒャッヒャと笑った。
チェコのターンになり、
「発動、エルミターレの岩石、以上」
攻撃も出来ないとなると、他に方法を思い付かない。
一方、まろびとは、痩せすぎの顔を、歪ませるほどに笑い、
「黒猫で攻撃、かな。
そして、新たに、黒猫、召喚!」
黒猫は、一/一なので、ブロックするだけで死んでしまうが、殺せば呪いカウンターを受けてしまう。
チェコは、黒猫に引っ掻かれてダメージ一を受けてしまう。
「うーん、参ったなぁ…。
紫デッキなんて、全然、考えて無かったよ。
召喚、多産の母、以上…」
そう言えば、攻撃力ゼロの召喚獣とかも、ミカさんのファイルには入っていたのだが…。
チェコは攻撃ゼロの意味が、全く解らなかった。
こういうことなのか…。
どんなものでも、使い道があるのだ、という事に、チェコは今頃気がついた。