エクメルの苦手
「貴様ー!
俺を殺すつもりかぁー!」
まろびとは、鉈というにも巨大すぎる、分厚い片刃剣をチェコに向けて、叫んだ。
違う、違うよ、とチェコは言ったが…。
「チェコ、、まろびとは、、人間を信用しない、、ちさも恐れられている、、いくら言っても、、通じない、、」
「一体、この人たちは、なんで、こんな山の中にいるの?」
「大抵のまろびと、、人の世界で生きられなくなり、、死にに山に入り、、そのまま住み着いてしまう、、」
「じゃあ、この人は?」
「、、たぶん、、人の世で、命を狙われていた…人、」
チェコは困惑して、イヌワシ峠を仰ぎ見た。
こんな事をしている暇はないのに…。
が、まろびとは、すっかり興奮して、血走った目でチェコを睨んでいる。
「仕方ない…」
チェコは、アースを浮かべた。
二つの緑黒のアースが浮かび、ちさもアースを浮かべる。
「あれ?」
ふと、チェコは気が付いた。
「エクメル!
ちょっとエクメル!
なに、寝てんの!」
チェコの首の魔石が輝きだした。
「我はエクメル。
決して寝ていた訳ではない!」
決然と魔石は言った。
「だって、さっきハンザキと戦った時、出てこなかったよね、俺、ピンチだったのに!」
「我にも苦手はあるのである」
「なんだよ、それは?」
「泥やハンザキの粘液などが我の体を覆ってしまうとアースの無限図書館との接続が切れてしまうのである」
チェコは、まだちょっと釈然としない気がしていたが、そんなことを言っている場合では無かった。
「じゃあ、今度は頼むよ!」
チェコは、剣を構えたまろびとに、スペルバトルを仕掛けた。