召喚獣
「召喚! ハンザキ!」
チェコが叫んだ。
ズン…。
軽く落ちるような地響きが起こり、巨大なハンザキが出現した。
ドウゥゥゥ!
チェコを追っていたハンザキは、突然のライバルの出現に、雄叫びを上げた。
「チェコ、、本物のハンザキと、、トレースしたハンザキ、、同じではない、」
チェコは頷いた。
生物は皆、自分の意志という物があり、状況によって、同じ戦うにしろ、自分の有利になる場所を選んだり、様々な駆け引きを行いながら戦闘をする。
が、召喚獣はプレイヤーの指示で動くだけの、いわば魔法的人形なので、同じ生き物同士だから互角、というわけにはいかない。
第一、召喚獣は、最初の十秒、ルール上、防御は出来るが攻撃が出来ない。
現に今、本物のハンザキは召喚獣にかぶりついていた。
ドオオォォォ!
噛まれたハンザキが叫んだ。
「よし十秒だ。
ハンザキ、攻撃!」
チェコも叫んだ。
ハンザキに召喚獣が噛み付き、互いが互いを噛み合う展開になった。
だが、十秒前から攻撃している本物の優勢は明らかだった。
ミシリ…、と召喚獣の肩口が、噛み千切られていく。
「召喚獣、攻撃!」
チェコは再び、攻撃を繰り返した。
「チェコ。
このままでは、、召喚獣は、、死んでしまう、」
「そこなんだよ、ちさちゃん!」
チェコは、ニカッ、と笑った。