泥
チェコは、岩を辿って渓流へ出たかったのだが。
ズルッ、と水に落ち、慌てて泳いだ。
「うわぁ、どうしよう!
身体中のヌルヌルがぜんぜん取れないよ!」
岩に触ろうとしても、ツルツル滑ってしまう。
しかも、水で洗い流そうにも、手で擦っても、体液は全く取れなかった。
布の一枚でもあれば、拭えるかもしれなかったが、石と水しかない場所だ。
「チェコ、、あれくらいでは、、ハンザキ、、死なない、、
半分に裂けても死なない化物、、
すぐ、、崖など、、登ってくる、」
チェコも、急ぎたいのだが、体液のお陰で歩くことも、ままならなかった。
バチャン! と倒れながらチェコが訴えると、
「泥で落ちる、、と聞いた事がある、、」
チェコは、よろよろと池の中央へ出、砂地を通過して、泥の中に飛び込むと、必死で体に泥を擦り付けた。
「おっ…、おおっ…、おおっ!
ちさちゃん、ヌルヌルが落ちたよ!」
チェコは、真っ黒になって立ち上がった。
「よし、これで…!」
言いかけたチェコが、慌てて振り返った。
崖沿いの岩の上に、巨大な顔が現れた。
ズゴゥ…。
まるで、息を吸い込むような鳴き声で、ハンザキが叫んだ。
チェコは必死に、泥から砂に、そこから迂回して渓流へと向かった!
4日は、お休みします。
次の再開は、たぶん7日かと…。
申し訳ありません…。