池
「ヒヨウは、タッカー兄ちゃんを見つけてるかなぁ…」
チェコは、数メートルほどの澤を登り、また渓流沿いを歩き始めた。
「きっと、、見つける、、。
、エルフ、、、森の達人、、。
チェコは、ヒヨウと出会って、、本当に幸運だった、、」
「そうだよねー。
たまたま通りがかったんだもんねぇ。
しかも、ゴロタの森で。
本当にヒヨウがいなかったら、どうなっていた事か…」
チェコは、昨夜、ミカと二人っきりで野営をしようとしていた時のことを思い出した。
もしかしたら、夜が越せなかったかも…。
あの鎧骸骨や猿喰い猿を思い出すと、今でも冷や汗が流れる気がする…。
「チェコ、、、水の匂い、、」
ちさは、チェコより感覚が敏感で、森の動きを、よく察知した。
「ん?
渓流を歩いているんだから、水の匂いぐらい、そこら中にあるんじゃないの?」
現に、今も、本来の川岸には大岩が並んでいて歩きづらいので、小石が多い川の中を選んで歩いている。
「…違う、、
沢山の、、、水の匂いがする、、」
ふーん。
と、前方を見ると、さっき登った崖より高い、五メートルほどの崖が出来ており、ショボショボと水が滝となって流れていた。
「行ってみようか?」
チェコは、軽々と崖を登る。
「うわぁ…」
崖の上は、ちょっとした池のようになっていた。
対岸までは、二、三十メートルはありそうだ。
池は、チェコのすぐ足元から始まっており、チェコは裸だった。
「泳ぐ、しかないよねぇー」
あはは、とチェコは諦めたように笑った。




