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スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
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揺れ

ヒヨウは、ふと考え込み、


「チェコ、タッカー、暫く、ここに居てくれ」


言うと、滑らかに水に潜り、鮮やかな抜き手で沼の奥に泳ぎ去った。


「えっ…。

急に、どうしたんだろう?」


タッカーは戸惑うが。

チェコは、バシャバシャと岸に上がり、スペルボックスからトレースのカードを持って帰ってくる。


「え、チェコ?

まさか沼サンショウウオをトレースしよう、とか考えてるの?」


タッカーの問いに、もちろん! と、叫ぶや、チェコは水飛沫をあげて泳ぎだし、沖で、バシャリと水を蹴ると、沼に潜って行ってしまう。


タッカーは、おい、危ないってヒヨウが…、と手を伸ばすが、既にチェコの姿はなく。


しばし、茶色く枯れ果てた沼を見渡し、

ふと、自分が一人だという事に重い至った。


この黒龍山の山の只中、しかも下にあるのは危険なゴロタの森で、上にはイヌワシ峠があるらしいが、どう行けば良いのかも、まるで分からない。


ゾッ、と、おぞけたタッカーは、ふと、水に浸かった体がピリピリ痛むことに気がついた。


「あ! ここ、毒の!」


慌てて水から上がる。

体は、少し赤くなってはいたが、それ以上の問題は無さそうだ。


しばらく、皮膚を点検していたが、風に当たって自分が素裸なのに気づき、着慣れない着物を、なんとか纏う。


そのまま、ぼんやり岸に立ってはいたが、急に、チェコに裸を見られて取り乱してしまって、大笑いされた事を思い出して、自己嫌悪でタッカーは、踞った。


が…。


その時、急に、体が揺れた。


「え! 何?」


叫ぶタッカーの目の前で、鏡のように波一つ無かった水面が、明らかにゆらめいた。


と、腹の底に響くような轟音がタッカーを包み、ついで…。


タッカーは、空中に放り出されていた。


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