表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
158/688

巨大な石の塊が、地面を突き破って伸びてくる間を縫うように、チェコたちは岩の間を登っていく。


石は苔むし、周りの木々も苔に覆われ、地面さえも緑の苔で埋まっていて、とても滑りやすいため、登る速度は、ごく遅い。


巨石の周りを、まわるようによじ登り、そこから又、深い谷地へ降りていくと…。


独特の、強い臭気が鼻を刺す。


緑一色だった苔の森から、その谷地は赤錆たような岩肌が露出するようになっていた。

驚く程急速に、苔は、剥き出しの岩肌に変わり、木々も石も、赤錆た色に染まっていった。


「もう、そろそろ毒マミ沼だ。

この辺は大丈夫だろうと思うが、風向き次第では空気自体が毒になることがある。

この、ツンとくる臭いが強くなったら、空気の良い場所に避難するんだ」


ヒヨウが注意を促す。

赤茶けた森の中に、黒く淀んだ毒の沼が見えてきた。


用心深く沼に近づくと、ヒヨウは指を水面に差してみる。


「うん。

なかなかの湯加減だ。

源泉は卵が茹でられる温度だから、ここらでも、ぬるめだが湯と言ってもいい。

手早く、体を洗ってしまおう」


ヒヨウが言うや否や、チェコは一瞬で裸になり、沼に飛び込んだ。


「ウヒョー!

なんか、肌がピリピリする!」


ヒヨウは丁寧に服を畳んで沼に入り、


「あまり長時間入れる湯ではない。

手早く洗って、出るぞ」


タッカーは、慣れない着物に手間取っていたが、静に沼に入った。

確かに、肌がチクチクするようだが、ぬるめの良い湯だった。


「ほっ…」


思わず、溜め息が漏れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ