鎖帷子
「やーん、ヒヨウの、エッチ!」
チェコは、体をコの字に曲げて、股間を押さえた。
「いいから、早くタッカーから鎖帷子を脱がすんだ。
あれは、魔法のアイテムなのだろう?」
「魔法?」
「スペルカードで言えば、回転するコマ、なんかの事だ」
「おおっ!
スピンウォーの!」
チェコは思わず手を打つが…。
「でも、鎖帷子はカードじゃないよ?」
ヒヨウは既に、タッカーの胸から帷子を引き剥がしなから、
「古来、魔法のアイテムは、宝玉のようにガードではなかった。
それをスペル製作者が、スペルカードに納められるようにしたんだ。
今は、カード化した剣などもあるので、便利だぞ」
「へー、知らなかったよ、カード化した剣か。
そう言えば、ヒヨウが弓を持ってないな、と思ってたんだよ」
ヒヨウは、タッカーの頭から帷子を外しながら、頷いた。
「カードボックスに入っている。
旅に使う色々な装備もカードになる。
金に余裕があったら、揃えた方がいい。
旅に出るならな」
チェコはズボン状になった帷子を、引き下ろした。
鎖帷子を脱がすと、タッカーは、ぐったりと草の上にへたばってはいたが、息が整ってくる。
「…ごめん、チェコ。
アースが増えるって、どんな感じなんだろう、って、ちょっと試してみたかっただけだったんだ…」
弱々しく、呟く。
「まぁ、誰でも羨ましくて当たり前だ。
だが、よく判らない魔法をうっかり使って、失敗したら命にかかわる。
気をつけろよ」
ヒヨウは、重々しく言ったが…。
チェコは、ケケケと、笑って言った。
「タッカー兄ちゃんってさ、実はけっこう子供なんだね」
タッカーは、えっ? と首を傾けた。
チェコは、ニカッと自分の股間を見せびらかし。
「ほら!
俺は、毛、生えてるぜ!」
高らかに笑った。