裸
本来なら、石の墓地で休息するはずだったが、タッカーも眠ってしまったし、西側斜面の頂上で休むことになった。
「まぁ、もうそこが石の墓地だし、普通はここまでゴロタも来ない。
下の騒ぎも、どうやら収まったようだし、休むとするか」
ヒヨウはゴロンと、栗の木の根元に横になる。
チェコも、タッカーに釣られたか、既にトロトロしており、
うん…、とだけ言って、タッカーの横に丸まった。
数時間は眠っただろうか?
うううぅ…、と呻く声に、ヒヨウは目を覚ました。
何だ?
獣の声のようではない。
反射的にナイフを持ちながら身を起こすと、周囲を見回した。
平和な、正午頃の、陽だまりである。
ドゥーガも獣も、おおよそ、この時間には動かない。
横では、チェコがぐっすり眠っていた。
と…。
チェコの横で、タッカーが、苦しそうに唸っていた。
「どうした!
タッカー!」
ヒヨウの騒ぎで、チェコも目を覚ました。
見ると、タッカーが、真っ青な顔をして、苦しんでいる。
「ど! どうしたの、タッカー兄ちゃん!」
チェコがタッカーに抱き付くように、とりすがるが、
ヒヨウが、困った顔で言った。
「それが、チェコ。
タッカーの奴、お前の鎖帷子を着てしまったようなんだ」
「へっ!」
チェコは叫ぶ。
気がつくと、チェコは素裸だった。