切断
「うわあぁぁぁぁ!
どうするの、これぇ!」
タッカーは、泣きながら叫んでいた。
チェコとヒヨウは、なぜか下に降りて行ってしまった。
タッカーだけが、蔓草に引かれて、ぐいぐい上へと登っていく。
見たこともない小動物や昆虫が、タッカーを追い越して上に逃げていた。
タッカーは、転ばないようにバランスを取るのて、精一杯だった。
つづら折りの曲がり角では、ほとんど空中に振り回されるように、山を登り続ける。
草から、巨大な猪が飛び出して、タッカーの目の前を横切った。
あっ…。
と、言う、間も無かった。
大猪は、突然、地面から飛び出た強力な顎に、上半身を切断された。
ぎゃあ、と叫ぶタッカーの横で、チェコの声がした。
「オオアギト草だよ。
あれに捕まったら、スペルを使う間も無いんだ」
視線を下げると、いつの間にかチェコがタッカーの横を走っていた。
「もう少し急ぐぞ!」
ヒヨウも、後ろにいるらしい。
「えー、
僕、誰に引っばられてるのー!」
タッカーはパニックになって叫んだ。
「蔓草は、大岩を付けて落とした。
なに、ここの頂きは、もう少しだから問題無い。
上に着いたら…」
ヒヨウは一振りのナイフを手渡した。
「石に引かれて落ちる前に、蔓草を切るんだ。
簡単だろ?」
タッカーは、絶叫した。