下水道
チェコは、ゲラゲラとバカ笑いをして、
「石なんて、下の土が流れちゃったら、粉々だよ!」
ははは、とタッカーは愛想笑いをして。
「あのね、コクライノには下水道があるから、下の土は流れないんだよ」
チェコは、キャッキャと笑ったが、タッカーとヒヨウが笑っていないのに気がつき…。
「げす…井戸?」
チェコとタッカーは見つめ合い、
「チェコ、下水道って知らないのかい?」
タッカーが聞くと、チェコは目を丸くしたまま、コクン、と頷いた。
「雨水はな、チェコ。
専用の排水溝から、地下に掘った大きな管、まあ川だな、に流れて、そこからコクライノの畔を流れる遠吠え川に、直接流れて行くんだ。
だから、サンマントルの丘は、千年間、形が変わっていない」
ヒヨウの説明に、チェコは驚愕の叫びを上げた。
「地下を川が流れているのか!」
スッゲー、と叫んだチェコだったが、んっ、と首を傾げた。
「でも、それって井戸とか掘るんだから、リコの村にもあるんじゃないの?」
タッカーは、頭を掻きむしり、
「井戸と下水道は違うんだよー!」
「えっ、何が、どう違うの?」
そう聞かれると、タッカーも口ごもる。
ヒヨウが、
「地下水は、大地に降った雨水などが、長い年月をかけて地下を流れていく。
概ね、砂などの層が地中にはあって、上手く、その上に井戸を掘ると、地下水を汲む事ができる。
それが井戸だ。
下水は、水を地下に作った穴の中に流す。
だから、道路沿いに作られている。
人が目的を持って、作ったんだ」
チェコは、うーん、と腕を組んで考えていたが、おおっ! っと顔を輝かせ、
「つまり、水道って奴でしょ!」
と、叫んだ。