エルフタッチ
ヒヨウとチェコで、タッカーをゆっくり、草の上に座らせた。
「ごめん、僕、調子に乗ってダンスなんてするもんだから…」
「気に病む必要はない。
山では、誰もが不運に見舞われる。
普段の生活では、すぐに忘れてしまうような小さな過失が、山では明確な形になって表れるのだ。
なに、すぐよくなる」
言うと、ヒヨウは、タッカーのブーツを脱がせて、マッサージを始めた。
最初は痛かったものの、すぐに痛みが引いて、気持ちよくなってきた。
「上手いんだなぁ、エルフは皆そうなの?」
マッサージにタッカーは目を細める。
「エルフ族に伝わる技だからな。
エルフタッチと言って、都会でもエルフはマッサージ店を開いていたりする。
コクライノでは見なかったか?」
「あ、あったあった。
エルフタッチって、こういうマッサージのことなの?
なんか、火を使う、とか、針を刺す、とか、痛そうなことを聞いたけど?」
「エルフタッチは、体の様々な状態に合わせて、色々なアプローチを行う。
火を使って温めたり、針を打ったり、オイルを使ったりな。
薬草などもよく使うぞ」
と、二人が話していると。
ガサッ! と、タッカーの目の前の草が爆ぜ、ヒィ! とタッカーは飛び上がった。
草まみれのチェコが出てきて、タッカーに果実を差し出した。
「アケビ!
甘いの食べると、元気が出るよ!」
どうやら、タッカーのために探してくれたものらしかった。
すいません。
明日は、飲み会のため、お休みします。