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痙攣
「なんか、思うんだけどさぁ…」
タッカーは、息を荒げながらも、元気よく言った。
何か、心に重く沈んでいたものが、無くなったようだ。
「山って、登ってるハズなのに、何で今、下ってるんだろ?」
「そういう地形だからな。
幾つもの小さな山が集まって、大きな山を形造っている。
その小さな山の、なだらかな裾に道ができているので、登ったり下ったりしながら、少しづつ登っていく。
山を垂直に登ろうとすると、大変な難行になる。
だが、残念ながら、それでは北面には出られないので、こうして迂回していくしかないな」
「ふーん、迂回するしかないのかぁ…」
言いながら、タッカーは自分の足を叩いた。
「タッカー兄ちゃん、どうしたの?」
チェコが聞くと、タッカーは、いや、なんでもないよ…、
ちょっと、足が…。
と、言いさしたが。
あっ、
と、立ち止まってしまった。
どうやら、足が痙攣しているようだった。