表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
130/688

笑顔

「ええと…、山って、真っ直ぐ上へは登れないもんなんだねぇ…」


タッカーは、息を切らしながらも、不安げに囁いた。


「道を外れる、と言うのはエルフやベテランの猟師でも普通はしない。

獣道、と言うだろう?

そういうところに嵌まったら、死の危険があるからな。


山で道を外れるぐらいなら、むしろゴロタと出くわす方が多少は幸運、だろうな」


「タッカー兄ちゃん。

ここから上へ上がったとしても、イヌワシ峠には出られないよ。

ここを回り込んで石の墓地を抜けないと、北面の方向には行けないんだよ」


チェコが説明する。


「イヌワシ峠は北面なのかい?」


「そうそう。

ここは南面だからね。

俺とパトスがはぐれた岩場の下らへんだからね」


あ…、とタッカーは口をつぐんだ。

チェコとミカの戦闘のとき、実は離れてタッカーも見ていたのだ。


「…あそこの下なのか…」


もはや、昨日のことだった…。

あれから、ずいぶん沢山のことが起こっていた。

女王に会い、親切な村人にもてなされ、そしてプルートゥが村にやって来て…。


「ごめん皆。

僕、何にも判らないから…」


「ううん。

山のことは俺だって全然知らないんだよ」


チェコが言うと、ヒヨウも、


「猟師やエルフだとしても、山の全てを知ることは出来ない。

山は常に変わるんだ。

季節、天候、草木や全て山に関わる命。

それに、山、そのものの心持ちも一瞬で変わるのが山なのだ。

今は、とにかく安全に歩み続けるのみだ」


と、振り向いてヒヨウは、タッカーに笑いかけた。


タッカーは、驚いていた。

ヒヨウが、これほど人懐っこい笑顔を浮かべる人だったとは、思わなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ