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ゴロタが本気で狙うとき
登り勾配を周り込むように進んでいく、と思うと、足元の悪い下り道になり、やがて、かなり厳しい傾斜地を、這うように登った。
タッカーは息を切らしながら、
「もぅ…、そろそろなのかな?
…その、石の墓地っていうのは」
いや、とヒヨウは背中で答へ、
「このペースだと、昼前ぐらいには、何事も無ければ着けるかもしれないな」
淡々と言った。
「え、そうなの?
その、…ゴロタとかは…」
「普段のゴロタは朝寝坊だ。
だが、さっきの足跡のこともあるし、今日はどうなのか、までは俺にも分からない」
「あ、そか…。
あの足跡からすると、もし近づいて来たら、木が折れたり、気配で判るよね…」
タッカーは、弱く囁くが、
「ことゴロタに関しては、エルフでも感知は出来ない。
この中では…、ちさなら判るかもしれないな」
と、チェコを振り返った。
「えっ、ちさちゃん、ゴロタ、判るの?」
チェコが聞くと、ちさは、
「普通、の、時、判る、、、。
でも、本気で、ゴロ、タが狙っ、てい、るとき、、、ちさで、もわ、か、らない、、、か、もし、れな、い」
と、ちさも声を潜めた。