出発
「うぇー!
冥府のカードか!」
宝物庫の外にいたタッカーとヒヨウは、チェコが見せたスペルカードに驚愕した。
「えへへ、
凄いでしょう!」
チェコは満面の笑みだが、タッカーは気の毒そうに、
「だけどさぁ、チェコ。
君って、緑のアースが、しかも一つしか出せないじゃん?
これって、六アース必要なカードよ?」
「エッヘッヘ」
チェコは得意満面にアースを出した。
黒ずんだ緑のアースが二つ、浮かんだ。
「えー、どうしたの、これ?
そんな急にアースが増えるわけ無いでしょう?」
チェコは、素肌に付けた鎖帷子を見せた。
「ええっ?
これがチェコの体のアースバランスを調節して、二アース出せるようにしているの?」
「あ、ん…、えーと…」
チェコは、指先でエクメルを突いた。
「本来あるべきアースを…」
エクメルの言葉を、チェコは器用に、自分の言葉に乗せるように話していく。
「…正しく引き出す魔具であり…」
つらつらと、エクメルの説明を、チェコはさらり、と自分の口で語った。
「へー、凄いねぇ、これ。
羨ましいなぁ、いいなぁ」
チェコは、絶頂に得意だったが。
「さぁ、パトスが待っているぞ。
イヌワシ峠に向かって出発しよう」
ヒヨウが声をかけ、三人は村を出るべく歩き出した。