ギフト
チェコとちさは、魔石を見つめた。
魔石は、光っている。
チェコは、光る魔石を見つめ続けたが…。
魔石は、光り続けている…。
チェコの顔が、段々、無表情になっていった。
「あの、エルヴィス?」
「我はエクメルである!」
「そーじゃなくって。
鍵がどうとか、言ってたでしょ?
その続きはどうしたの?
そこ、一番大事なところでしょ?」
「続きはない。
もう、終わっているのだ!」
チェコは強烈な雷に打たれたかのように、愕然とした。
「えぇー!
終わっちゃったの!
いつ、どこで終わってたの!
全然、判らなかったよぅ!」
パニックになって、チェコは叫んだ。
「チェ、コ、、箱、、開け、て、みる」
へっ、とチェコは、動きを止めてポカンとし、それから、あ、そういうこと! と、頭上に電球でも浮かんだかのように理解した。
チェコは、宝箱の蓋を押した。
「…あ、開かない!」
「上に開ける蓋なのである」
あ、そうか、とチェコは、大きな箱の蓋を開けた。
中には、銀色の鎖帷子が入っていた。
「なんだー、これ?」
「それは由緒あるアルギンバ家の子息用の防御服である。
着れば、アースが増える、効果もある」
「えぇー!
本当!」
チェコも、自分で出せるアースが1つなのは、実はけっこう気にしていたので、飛びあがって喜んだ。
「待て!」
服の上から着ようとしたチェコを、エクメルが制止させる。
「その奥の聖なる滝を、まず浴びて、身を浄めよ」
一段高くなった箱の奥に、見ると一筋の水が、音もなく落ちていた。