宝物庫の謎
チェコは、左右に、ずっしりと箱が積みあがった宝物庫を歩いていく。
「俺のもの、って、一体なんだろうね、ちさちゃん…」
「判、ら、ない、、ちさ、も、チェ、コの、匂、い、、探、し、て、、み、る」
「お願いね、ちさちゃん…」
言いながら、進んでいく。
宝物庫には天井まで高く棚が造られ、箱が積み上げられていたが、その棚の柱の所々に、ランプの炎が灯っていた。
チェコは、左右を見回しながら…。
「俺の名前が書いてある、って訳でもないみたいだけど…」
宝物庫は、長く、右に左に折れ曲がりながら、どこまでも続いていく。
「どうしよう…、俺、判らなかったら…、もしかして、ここから出られないかも?」
「心、配、、しな、い、で、、チェ、コ、、、きっ、と見、つか、る、、」
「だけどさ…、こんなに沢山の中から、どうやって探せばいいのか、全然分からないんだよ!
俺、頭、悪いから、こういう、考えるのダメなんだ!
いつもはパトスが考えてくれるのに!」
チェコはだんだん、半泣きになってくる。
それでも、ちさに励まされ、足を進めるチェコだったが。
長かった宝物庫も奥に一段高く作られた壇の上に置かれた大きな箱で、終わりになっていた。
チェコは足を止めた。
「どーしよー。
全然分からないよぅ!」
両手で顔を押え、泣き叫ぶチェコだったが…。
「チ、ェコ…、魔、石、、光っ、て、る…」
へ…、と胸の魔石を見下ろすと…。
「我はエクメル。
チェコ、アルギンバに仕えし遊諸正しき魔石である。
今、ここにアルギンバ家の遺産の鍵とならん」
チェコとちさは、息を飲んでエクメルを見つめた。