表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペルランカー  作者: 六青ゆーせー
12/688

箱の中

「私は、主と認めた方に限り、様々なサーヴィスを提供できる」


魔石が、低い男性の声で言った。


「えっ、

えー、どんなサービス?」


「例えば、あなたが知りたいと思ったことを私に問えば、私はアースの無限図書館から検索した答えを提示できる。


また無限図書館には、映像メディアや音響メディアも保管されているため、貴方は音楽、絵画、様々な動画の閲覧も可能だ。


さらに別な魔石使用者と通信が出来る他に、手紙のやり取りも可能である。


さらに、画像、映像、音響の記録や、そういった情報の他の魔石への転送もでき、さらに無料のゲームを楽しむこともできる。


なお主は未成年フィルタがかかっているため、一部コンテンツの利用は制限されている」


落ち着いた男の声で、魔石は説明した。


「うわぉ! 凄げー、まるでスマホみたいじゃーん!」


「チェコ? スマホって何?」


うんざりとパトスが呟く。


「何これー、こんな高性能な魔石、見たことないわ!

これってセブン? いいえ、幻のテンなのかしら!」


赤い髪の美女も叫んでいた。


「凄いわ、凄いわ!

アースが出るだけで、皆、大喜びなのに、無限図書館と常時接続の魔石なんて!


君、何者なの?」


チェコは、焦って、


「俺、チェコ…、アル…、デンテ?」


「アルデンテ家なんて聞かないわねぇ。

アモーレ王国あたりの貴族かしら?


でも、あの辺の人が金髪金瞳には、あまりならないはずだけど…、まぁ、いいわ。


君!」


美女はチェコの肩をがっちり掴んで。


「私、君に惚れたわ。


実は、私、キャサリーン・ギブツは、悪い人たちに追われているのよ。


彼らが狙っているのは、これよ」


真っ赤な髪の美女、キャサリーンは、五十センチ四方もありそうな箱をチェコたちに見せた。


「いい。開けるわよ」


キャサリーンは、赤い髪を額に、パラリと垂らしながら、囁いた。


「ちょっとだけよ…」


五十センチ四方の箱の扉が、音もなく開いていく。


中から、金色の輝きが零れてきた。


えっ、とチェコが覗き込むと…。


それは、チェコの手の平ほどの、金色に光る、人、だった。


「よ…妖精?」


「そう。

この子は、ハナって言うの。


ハナ、この男の子はチェコ、こっちの小さなお友達はパトスよ」


金色に光る妖精は、背中の、蝶のような翅を緩やかに羽ばたかせ、滑るように空中を移動すると、チェコの手に止まった。


「わぁ…、君って、軽いんだねぇ…」


チェコは、歓声を上げるが、キャサリーンは、厳しい視線をチェコに向けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ