力の門
宮殿の大広間を通り抜け、長い廊下を歩いた先に、大きなアーチ門があった。
「ここは力の門。
門は、力の門番が護っている、と言われているから、僕はこの門には入れないんだよ。
招かれたのは、君だけだよ、チェコ」
タッカーは、気取った仕草で、入りなさい、という風に腰を屈めた。
「ガウル様が言ったのだから、君は入れるはずだ。
チェコ、自分の物を取ってくるんだ」
「それなんだけどさぁ、
俺、忘れ物なんてしてないしねぇ…」
チェコは首を捻る。
何か聞いていないのか、とヒヨウはタッカーに聞くが、
「チェコの事を、女王は知っている風だったけどねぇ。
たぶん、行けば判るふうにしてあるんじゃない?」
はて、女王様ねぇ、どんな感じの人?、とチェコは聞くが、
「とっても大きな人だよ」
とタッカーは答える。
しばらく問答するものの得るものは無く、チェコは門に入ってみることにした。
一歩、足を踏み出す。
何か起こらないのか、周囲を伺うが、門は、ただ石造りのアーチのままだ。
もう一歩、進むと、チェコは門を通り抜けてしまった。
結局何も起こらず、門を抜けたチェコは、その奥の巨大な鉄製の扉を押してみた。
ぎぃ
と、微かに軋み、扉が開いた。
中には、沢山の箱が積みあがった通路が続いていた。




