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新しい道
フフフ、とガウルは優し気に笑い、
「女王様は全てを見通すお方。
お前が仲間と一緒のことぐらいは先刻からご承知なのだ。
女王様からの伝言を伝える。
チェコ、お前は、まず村に戻り、大宮殿の宝物庫から自分の物を手に入れよ。
それから、友と共に山に登れ。
イヌワシ峠で、キャサリーンとパトスが待つ」
チェコはポカンとして、
「俺、なんか村に忘れ物でもしたっけなぁ…?」
ヒヨウは腕を組み、
「宝物庫の中、と言うのだから忘れ物ではない。
女王は、何かをお前に託したいのだろう。
ここで首を捻っていても仕方がない。
女王の言う通り、村に戻ってみよう」
「でもさ。
村は、物凄い火事で、どこが大宮殿か、なんて、俺、知らないよ」
タッカーが頷いた。
「大丈夫。
僕が知っているから。
ガウル様、僕がチェコを宮殿に案内いたします」
ガウルは、深く頷く。
「うむ。
タッカー、任せたぞ」
三人は、ガウルに頭を下げ、石舞台を降りていった。