護り手
チェコは、巨大魚にトレースのスペルを使った。
「うぉう!
この子、水の護り手、だって!」
「えー、護り手っていったら、けっこうレアな召喚獣じゃない!」
タッカーは驚いた。
「しかし、護り手は強力な守護者のはずだ、こんなに大人しいハズは…」
ヒヨウは訝る。
「僕も、トレースしよっと!」
タッカーは、ウキウキとトレースのスペルを発動しようとするが…。
「あれ、スペルが発動しない?」
「守護者であれば、呪文は効かない場合もあるだろうな」
「えぇ!
いいなぁ、チェコは」
羨ましがられて、チェコは、ウッキー! と、大喜びだ。
「しかし、差し当たって守護者はどうでもいい。
この滝を、どう超えて対岸まで行くのか、それが問題なんだ」
ヒヨウは、そう言って、陸に帰ろうとするが、チェコは、クンクンとにおって、やがて魚の口の中に入ってしまう。
「おいおいチェコ、いくら大人しいからって、そりゃ駄目でしょ」
タッカーは慌てるが、
「やっぱり!」
とチェコは叫ぶ。
ヒヨウが振り向くと、チェコは顔を輝かせた。
「この魚の舌から、パトスの臭いがするんだよ!
魚の口に乗るんだ!」
ええー! と、タッカーは叫んだ。