魔石
「驚いたわ。
こんな森の奥地で、ブロンド金瞳の子供に会うなんて!」
さらに赤い髪の美女は、チェコの首を撫でまわし、
「君、いくつ?
十二ぐらいかしら?」
「十三です!」
なぜかチェコは、急に敬語になってしまった。
「あら小さいのね。
ちゃんと食べてるの?」
「お…、俺…、ご飯は、ダリア爺さんに三度の飯、食べさせてもらってるよ。
玄米だけど…」
「あらぁ、マクロビじゃない。
本物の金髪金瞳とすると、アースはどうなの?
鈴箔が出来るんだから、アース出せるんでしょう?」
一もにもなく、チェコは思いっきりアースを出した。
「あら、緑色なのねぇ。
まぁ、緑もあるみたいだけど…。
あら、これ?」
美女は、チェコが首に付けたペンダントを見つけた。
「これ…、まぁ…、魔石だわ」
チェコの親の形見だった。
「あ…これ!
赤ちゃんの俺がダリア爺さんに預けられた時、これだけは身に着けていたって!」
「本当?
これ、相当のレアアイテムよ。
魔石に認められれば、十秒ごとに一アース、いつでも出せるようになるの。
しかも魔石には限りがないから、君自身が二アース出すのと同じように出来るのよ」
「ええっ! 凄げー!
どうやってやるの?」
チェコは躍り上がった。
「魔石よ、我を認めよ。我は××△△って感じで大丈夫なはずよ」
「さ…やってみる…」
チェコは立ち上がり。
「魔石よ、我を認めよ。
我はチェコ、…アル…、アルデンテ!」
チェコは叫んだが、魔石は反応しなかった。
「あらぁ、君の親族の物なら、間違いなく反応するはずなのに。変ねぇ…」
チェコは決然と!
「パトス、俺、ちょっと行ってくるよ!」
叫ぶように言うと、木苺の木の方に走った。
「あらまぁ…、男の子って元気ねぇ。
コクライノの都にいるような人口金髪の子供たちは、髪が乱れるのを何よりも嫌うから、静かなもんだけど…」
「俺…、いつも一緒…。
チェコの髪…金色」
赤い髪の美女は、あんぐりと口を開けたまま固まった。
「俺…、パトス。精獣の仔」
「あらやだぁ、本当、今日はどうしちゃったのかしら!
もしかして、幻覚?」
「俺も、チェコも、本物…」
美女は輝く緑の目を潤ませて、
「まぁ、本当の精獣の仔だなんて!
ねぇ、君、もしよかったら…」
「俺…、チェコと、血の契約、…交わしてる」
「えー、あの子とぅ?
でも、魔石に認められないなんて、ショボい子やめて…」
唐突に、木苺の茂みから、強烈な輝きが、ごぅ、と言う音と共に、広がった。
そして…。
「おねーさーん!
俺、魔石と契約、出来たよぅ!」
チェコが仔犬のように走ってきた。
「あらぁ…!」
チェコの手の中で、魔石が喋った。
「私はエクメル。
アースに連なる魔石の一欠けらである」
「あら、まぁ! この魔石、喋ったわぁ!」
美女が叫んだ。