地底湖
チェコたちは、洞窟を進んでいく。
道々、パトスの道しるべがあるので、もう迷うことは無い。
しばらく進むと、洞窟は、巨大な地下空間に突き当たった。
天井は闇の中に沈んで、どれだけの高さがあるものとも判らない。
奥行きもまた、漆黒の闇に消えていた。
ただ、広い地底湖が、少し先から広がっているのは、ランプの明かりでも見届けられた。
そして、地下空間には滝の音が轟いていた。
「ひょぅ、
なんか凄いところですねぇ。
もしかして、鬼の古井戸に続いていました、なんて言ったら泣いちゃいますよ」
タッカーはおどけて言うが、声が震えていた。
「まぁ、遠くは無いだろうが、鬼の古井戸の深さはキロ単位だ。
こんな浅い場所では、アースが薄くて、鬼は住めないんだ」
ヒヨウは、冗談なのか本気なのか、解説を始める。
「おそらく、あの滝は虹カマスの湖と繋がっているのだろうがな」
周囲を見回し、ヒヨウは歩き始めた。
「俺の見たビジョンでは、滝の音のする方向に赤毛の女とパトスがいるはずだ。
さあ、急ごう」
音のする方向に歩いていくと、暗闇に白く、滝が見えてきた。
いや、滝と言うよりも、それは瀑布だった。
それははるか闇の頭上から、途方の無い量の水が落下してくる、水で出来た城壁のように、三人の前に広く高く、立ち塞がっていた。