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秘密
「おい、チェコ。
今、石が光ったぞ!」
ヒヨウが叫んだ。
「ええっ?
そう?」
石にしがみついているチェコからは、近すぎて逆に判らないらしい。
暗い井戸の底だからこそ分かった、微かな光りだ。
「チェコ!
ちょっと、そこいら辺、押すとか引っ張るとか、横に動かすとか、さ、チェレンジして。
何かあるクサイよ!」
タッカーも言う。
チェコは、律義に、押し、引っ張り、横にずらそうとしてみたが、全く動かない。
「光ったの、見間違いかなぁ」
タッカーは首を捻り、
「ちょっと一度手を放して、
それから、触って…。
って、やっぱ光ってるねぇ!」
タッカーは足元の水をバチャバチャ撥ね返らせて慌てた。
ヒヨウは、ムッと考え込み、
「何か呪文があるとか、割符のようなものでも必要なのか?」
「いやいや、光ってるんだから、何かが反応はしているんだよ。
きっと方法が…」
タッカーは身悶えた。
が、次の瞬間、三人は言葉を失った。
チェコを乗せたまま、石壁が、扉の様に、ギィ、と音を立てて開いてしまったのだ。
「ああ…。
こういう仕組みだったんだぁ…」
チェコは、ハハハと笑った。