井戸の底
チェコたちは井戸に降りてみることにした。
村は、まだ燃えている上、プルートゥが戻って来ることもあり得るため、ロープなどは使えなかった。
ヒヨウが、安全を調べながら降り、続いてチェコが、身軽に降りていく。
タッカーは、怖々と井戸を覗き込み、
「どうです? 深いですか?」
チェコは井戸の底で、おーい、と手を振り、
「ほんの十メートル、浅い浅い!」
「湖の近くだから、これほど浅くて済むのだろうな。
エルフの井戸なら五十メートルは深さがある」
ヒヨウの声も軽い。
タッカーは、ソバカスの浮いた顔に不安を浮かべ、
「じゅ…、十メートル?
建物で言うとどのくらいかなぁ?
三階ぐらい…?」
「大丈夫、落ちたって死なないよ」
「下は砂地だ。
俺たちは必ず避けるから、心配はいらない」
二人の陽気な声に、タッカーは困惑し、
「あのねぇ。
落ちる前提で話すの止めてよね…」
「あ!」
チェコが大声を出した。
「…な…、なんなの、チェコ?」
タッカーはビクリ、と片足を井戸に突き出したまま、動きを止めている。
「タッカー兄ちゃん!
パンツ丸見え!」
チェコたちはゲラゲラ笑い、
タッカーは、見るな! と叫んだ。
十分ほどもかけて、よろよろとタッカーは井戸に降りたが…。
「それで?
洞窟って、どこなんです?」
三人は首を傾げた。