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あいうぉんととぅーびーあ ニンゲン!  作者: 今はまだ保留でお願いします
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屋上に行こう、そうしよう

「はぁー……」


恒例行事が終わり、新しいクラスの新しい席に座った夏村は、大きなため息をついていた。


「夏村ちゃん、ため息なんかついちゃって、まさか、病気?!」


「違うし」


「ビョウキハ、ナニデスカ?」


「身体の生理的機能や精神の働きに障害が生じ、苦痛・不快感などによって通常の生活が営みにくくなる状態のことだけど、なんで知らないの?」


うたぐり深い目で莉子があん子を見つめるが、すぐに


「まあ詳しく知ってるのは僕くらいだよねぇ〜」


と勝手に納得していた。


「夏村サン、タメイキ、ヨクナイデスヨ?」


「そうそう。なんでため息なんてついてんのさ?」


二人からの質問に、夏村は息を吐いてからきっぱりと言う。


「あなたがたに振り回されそうだからです」


「「……」」


あん子は今にも泣き出しそうな顔で、莉子は悲しみと喜びが混じったような複雑な顔をしていた。


夏村はそんな二人をちらちらと横目で確認する。


――言い過ぎた気がする、けど、莉子は複雑な顔してる……。Mなの?


少しだけ考え、再び横目で確認する。


すると、あん子の目からは涙が一粒こぼれ落ち、莉子はついに喜びのみの顔になった。


――莉子は完全なるMだ。あん子はロボットのくせに泣けるんだ。なんかすごい!


なにか話題を変えねば、そう思い、夏村は莉子の眼鏡の話をすることにした。


「そ、そういえばさ! 莉子はなんで眼鏡してんの? ちょっと私もかけてみたいなぁ〜……?」


「ハ、ソ、ソウデスネ、キニナリマス!」


話題を変えると、あん子の涙はひっこみ、笑顔になった。


――よかった……。


「え、眼鏡? ……眼鏡は、ちょっと、うーん……。あ、屋上! 屋上行って景色見ない?! 見たいよね?! よし、行こう行こう!」


「イタイデス、ヒッパラ、ナイデクダサイー!」


「莉子ちゃん、痛い、痛いよ?!」


強引に腕を捕まれ、屋上に連れていかれる。



☆★☆★☆



屋上につくと、登校中にいちゃこらしていた百瀬と柑奈がいた。


「(しっ! 喋らないで!)」


「(んぐっ?!)」


「(ンー!)」


莉子に口を押さえられ、上手く話すことができない。


だが、喋らないでと言われたため静かにし、百瀬と柑奈の様子を見守る。


少したつと、話し声聞こえてきた。


「柑奈ちゃん、こんなところに呼び出して、なにかご用ですかぁ?」


百瀬特有の語尾を若干伸ばす話し方で、のんびりと柑奈に問う。


「あのね、百瀬……」


小さな体をくねくねと動かしながら、俯いて話す。


「なんですかぁ?」


顎に人差し指を当て、再び問う。


「あの、だからね、その……えっとね……」


更に俯き、耳まで真っ赤にする柑奈。


「ふふ、なに恥ずかしがっているんですかぁ? 柑奈ちゃんらしくないですよぉ?」


そんな柑奈にゆっくり近づき、彼女の髪を優しく梳かしてあげる。


「さ、私に言ってみてくださいぃ?」


「あの、私、また百瀬と同じクラスになれて嬉しいの! それで、きき、今日って、私と百瀬が、その、つつつ、つきあ、付き合っっっって、い、い、一ヶ月……でしょ? だだだ、だから、ね……い、一ヶ月、だし……キ、キキキキ、キキキ…………とか、し、してみたい、なぁ……なんて」


「(付き合ってたんだ)」


「(デスネ)」


「(私達見てていいの?)」


「(いいの!)」


「なんだぁ、そんなことでしたかぁ。いいですけどぉ、1つ条件がありますぅ」


百瀬はイタズラっぽく笑い、柑奈の頭を撫でる。


「な、なに……?」


上目遣いで百瀬を見上げる柑奈はとても可愛く、夏村まで惚れてしまいそうなほどだ。


「抱き合いましょうぅ?」


「ふぇ?!」


百瀬には、Fカップという驚異的なバストと、スタイルがよい高身長がある。


対して、柑奈はAカップに低身長。


柑奈が百瀬に抱き着けば、顔は確実にFカップに埋まるだろう。


「「(うらやましい……)」」


思わず夏村と莉子の口から本音がでた。


すると、3人では唯一大きい胸を持つあん子が、


「(ワタシデ、ヤリマスカ?)」


と言った。


「「(百瀬でやりたい)」」


また夏村と莉子から本音がでた。


「(カナシーデス。カクジツニ、夏村サント、莉子サンヨリハ、オオキイノニ……)」


あん子からも本音がでた。


「わ、わかった……。やる。いくよ……?」


「どうぞきてくださぃぃ」


ぎゅ。


百瀬の大きな胸に、柑奈の小さい顔が埋まる。


百瀬は嬉しそうに、柑奈を抱きしめる。


そしてお互いを見つめ合い、唇を近づける。


「柑奈ちゃん……」


「も、百瀬……」


どんどん近づき、やがてそれは重なった。


その瞬間、鳥が羽ばたき美しい演出となった。


3人が見惚れるほどに。



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