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派遣、恋に落ちる  作者: 竹子


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95/96

第95話 : ocean

あの日からしばらく経ち、物語の主役たちは、それぞれの道を歩み始めていた。しかし、環奈は全ての出来事を乗り越えた今、再び皆を集める計画を立てた。

「たまにはパーッとやらないと、人生つまんないでしょ!」という環奈の一声で、夏の終わりの週末、全員が海に集結した。

そこには、凛と翠の仲直りした姿があった。二人の間には以前のような激しい衝突はなく、穏やかで、しかし確かな姉妹の絆が戻っていた。

翠は、夏休みに入ってから受験勉強に集中するため、神城とは塾ですら顔を合わせていなかった。再会直後は、少しよそよそしい態度を見せていた。

「神城くん、久しぶり」

「おう、翠。元気そうだな」

そんなやり取りの後、いつもの調子を取り戻しかけた翠は、つい癖で神城の足に蹴りを入れようと足を振り上げたが、すぐに止めた。

「...ったく。まだ完治してないんだから、大事にしなさいよ」

そう吐き捨て、拗ねたように顔を背けた。蹴りを控えるその姿に、神城も凛も、微かな笑みを浮かべた。


相変わらず、石田はパラソルの下、法律書を片手に座って日光浴をしていた。

環奈は、ビーチチェアに座るなり大量のお酒を次々と注文し、すでに上機嫌だ。一方、凛はグラスに注がれたノンアルコールビールを掲げた。

「さあ!皆、新しいスタートに乾杯!」

環奈の音頭で乾杯すると、凛は「飲んでないけど、気分で酔っぱらったかも!」と笑い、頬を染めた。


そんな中、麻奈はまだ未練を断ち切れていなかった。神城が車椅子から砂浜に降りようとする際、麻奈はサッと近づき、神城の腕を掴んだ。

「快、危ないよ。私が手伝うから」

その親密な距離に、凛の眉間に皺が寄る。

「麻奈ちゃん、ありがとう。でも、私がいるから大丈夫だよ」凛はそう言いながら、神城の腕を引っ張って自分の方へ引き寄せた。

神城は、二人の間に漂う空気に焦り、苦笑いする。


凛は可愛く顔を膨らましながら、神城の腕を軽く叩いた。その様子は、三角関係の激しい争いではなく、安定した恋人同士の可愛い嫉妬だった。


やがて、環奈は酔いが回った勢いで、凛に相撲を挑んだ。

「凛!勝負だ、ノコッタノコッタ!」

「もう、環奈は!」

凛は笑いながらも応戦し、二人は砂浜で転げ回って笑い合った。


その光景を見て、神城はふと過去の記憶を思い出した。それは、旅行先の旅館で、凛と環奈が酔って相撲を取り、障子を盛大に破いてしまい、高額な罰金を払う羽目になった、あの日の出来事だった。


神城は、遠い昔に味わった金銭的な痛手を思い出し、思わず頭を抱えた。


集まったメンバーは、過去の傷や、複雑な恋愛関係、事故の重さを乗り越え、心から和解している様子だった。

それぞれが、失われたものとより強固となった絆を抱きしめ、未来への新しい一歩を踏み出していた。

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