第53話 : class
新学期。神城は、ボロボロになりながらも不良グループと決別し、真っ当な人生を歩もうとしていた。傷は癒えたが、彼の恋路の絶望と、翠への屈辱の記憶は残ったままだ。
校内掲示板で、3年生のクラス分けの紙が張り出された。神城は人混みから離れ、冷めた目で自分の名前を探した。
「神城 快……3年D組」
彼は特に何も思わなかった。神城は一人でいることが好きな性分(周りから恐れられてる)なので、どこのクラスになろうがあまり関係ない。
その時、神城の背後から、明るい歓声が上がった。
「3年D組ってことは.....今年も翔子と真紀と一緒ね!」
神城は、嫌な予感を覚えつつ振り返った。そこには、仲の良い友人と抱き合い、満面の笑顔で喜ぶ翠が立っていた。
翠は、友人たちに続いて掲示板を確認し、神城の方を見た。そして、その顔が一瞬で凍りついた。
「神城 快…3年D組」
翠と神城は、まさかの同じクラスになってしまったのだ。
「…あんた、私のクラスにストーカーしてきたわけ?」
いつもの冷徹な表情に戻った。そして、挨拶代わりとばかりに、神城のすねに鋭い蹴りを入れた。
「ぐっ!な、何するんだ翠!俺だって一緒のクラスになりたくてなったわけじゃなくてだなぁ」
神城は痛みに悶絶したが、翠は顔を真っ赤にしてフイッと横を向いた。彼はただただ、また翠と一緒になってしまった不憫な運命を呪った。
数日後。神城は、私立最高峰の「應稲」を目指すべく、大手予備校の難関クラスに通い始めた。意外にも彼にとって、高学歴という鎧は失いたくないものだった。
その塾の自習室で、神城は再び運命の悪意に晒された。
「あれ?」
隣の席に座っているのは、井出翠だった。
「ひ、ひえぇ…な、何で、お前がここにいるんだ!?」神城は恐怖で声を裏返した。
翠は、ノートから顔を上げ、嫌悪感を露わにした。
「ストーカーしないでよ神城!まさか、私が通ってる塾まで調べてきたわけ?気持ち悪い」
「誰がお前なんかにストーキングするか!俺は、應稲を目指してるんだよ!お前こそ、国公立の縦国志望じゃなかったんか!?」
翠は、鼻で笑った。
「縦国は縦国よ。ただ、この塾の講師が最高峰だから、難関私大コースのクラスを取って、効率よく対策してるだけ。あんたとはレベルが違うの」
神城の緻密な進路計画の邪魔をするかのように、翠は運命の悪意を携えて、再び現れたのだった。
應稲→應山大学+稲村大学
縦国大学→関東にある有名な国立大学




