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派遣、恋に落ちる  作者: 竹子


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37/96

第37話 : bear

キャンプ2日目の朝。神城と翠は、昨晩酒に溺れた凛と環奈に対し、厳しく説教していた。

神城「井出さん!環奈さん!昨日はいくらなんでも飲みすぎっすよ!せっかくのニジマスが台無しじゃないっすか!」

翠「データによれば、アルコールの過剰摂取は認知機能と運動機能に著しい低下を招くわ。飲み過ぎは害しかないわよ」

凛は顔を赤くし、眉を下げて可愛らしく謝った。

凛「ご、ごめんね、神城くん。つい、環奈に付き合っちゃって…」

神城は凛の上目遣いに、心臓が「ドキン」と鳴った。

(や、やべぇ……!この謝り方.......)

その瞬間、隣にいた翠が、神城の弁慶の泣き所に無言で正確な蹴りを入れた。

ドスッ!

神城「ぐああっ!」


昨日誰も風呂に入らなかったため、一同はキャンプ場内の温泉へ向かった。

温泉でさっぱりした後、昨晩の醜態を反省した凛と環奈は、名誉挽回を誓った。

凛「ね、環奈。みんなに悪いことしちゃったから、こっそり大物を釣ってサプライズしようよ!」

環奈「賛成!神城くんや翠ちゃんには言わないで、二人だけでコソコソ行こう!」

二人は、他のメンバーには内緒で、神城と店長が使っていた釣り道具を少し借りて、「大物を釣る!」と意気込んで、山奥の渓流へと入っていった。しかし、二人は夢中になりすぎて、山奥の渓流の奥深くまで踏み込んでしまう。そこで、事態は急変した。

「ザアアアアッ!」

突然、バケツをひっくり返したような大雨が降り始めた。

凛「うそ、すごい雨!」

環奈「まずい、早く戻らないと…あれ?道がわかんない」

二人は慌てて近くの小さな小屋を見つけ、中に逃げ込んだ。

その瞬間、凛の携帯が圏外になった。

そして、小屋の入り口に、巨大で黒い影が現れた。

「グオオオオオオオオ!」

本物の熊だ。

凛と環奈は顔面蒼白になり、恐怖で声も出ない。


店長「おい、神城。そろそろ日が暮れるぞ。あいつら、どこ行ったんだ」

凛と環奈が戻らないことに気づいた神城と店長は、異変を感じ、捜索に向かった。

大雨の中、二人は小屋を発見。中の惨状を見て、神城は吼えた。

神城「凛ちゃんから離れろ、この毛むくじゃらが!」

神城は、キックボクシング仕込みのスピードで熊に飛びかかった。しかし、熊の巨体と力は桁違いだ。神城は吹っ飛ばされ、熊の爪が店長めがけて振り下ろされる!

店長「ぐっ!」

その瞬間、神城の脳内は「凛ちゃんの店長を傷つけるな!」という忠誠心で満たされた。

神城「させるかあああああ!」

神城は、飛びかかりながら片手を熊の喉の奥にねじ込み、そのまま全力で熊の体を押し倒した!

「ブフッ!ゴボゴボッ!」

熊は喉を押さえられ、苦悶の声を上げ、力を失って倒れ込んだ。神城は、一撃で熊を戦闘不能にしたのだ。


神城が呆然とする中、倒れた熊の体がもぞもぞと動き出した。

そして、熊の頭部がパカッと開き、そこから、いつもの無表情な石田が顔を出した。

神城は、口を開けたまま固まった。

神城「は????」

石田は、被り物の熊のぬいぐるみを脱ぎながら、静かに一言。

石田「……実家の家業」

石田はそれだけ言うと、熊の被り物を抱え、何事もなかったかのように雨の中を歩いていなくなった。

店長と神城は、呆然として、その場に立ち尽くした。

凛と環奈は、ようやく緊張が解け、泣きながら神城に抱きついた。

凛「怖かったよー!神城くーん!さすが神城くん!」

環奈「神城くーん!最高に頼れる男だよ!」

神城はなんとも言えない表情で二人をなだめた。

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