プロローグ
中学で番長やってた拳バカが、高校でも調子に乗って暴れ回るだけの話です。
頭は悪いですが、拳は速くて硬いです。
頭が良い人も、普通な人も、バカって楽しいな〜くらいの気持ちで読んでもらえたら嬉しいです。
校門の高さはおおよそ六メートル、幅は4メートル。
素材はコンクリート打ちっぱなし。
型枠の跡が微妙に残っているところを見るに、仕上げは手抜き気味。
左右には刺のついた鉄条網。
高圧電流こそ流れていないが、通電させる気になれば即対応できる設計だ。
それが、黒龍学園の第一印象だった。
その門の前に立つ男──尾賀は、
作業着姿から詰襟に着替えたばかりの転入生である。
「門の厚み、25センチってとこか……ハツるなら油圧カッターと圧縮ガスあれば30分でいけんな。」
(斫るとは──コンクリや岩を壊したり削ったりする土方、建築用語だよ!)
つぶやく声は、学校というより現場での感想に近い。
彼はここに“希望”を持って来たわけではない。
転入の理由は単純だった。
「働いてた土方のバイト先、潰れた。」
それだけだ。
生活がなくなり、行き場もなくなり、なんとなく学歴が欲しくなった。
そんな理由で受け入れてくれる学校が、黒龍学園だった。
教師に言われた話によれば、この学園では部活動を通して“戦争”が行われるらしい。
戦争の勝敗は物資、支配区画、構成員数に直結し、生徒たちはそれを本気で奪い合う。
理由は──尾賀の知能では覚えられなかった。
「戦争って言うから銃でも使うのかと思ったけど、さすがにそれはねぇか……。でも、トラック突っ込ませるのはアリって言ってたな。意味わかんねぇな。」
口調こそ飄々としているが、尾賀の頭はすでに“どう戦うか”に切り替わっていた。
学力は皆無。
勉強ができないことを不便だとは思わない。
ただ、殴るのは得意だ。
何部に所属するかは決めていない。
だが、そう遠くないうちに決まるだろう。
殴って決める。殴られて決まる。それだけだ。
この男が転入してきた瞬間から、黒龍学園の“今年の戦争”は少しだけ、予定とズレ始める。
拳バカの転入からお付き合いいただき、ありがとうございました。
まだ何部に入るかも決めてませんが、とりあえずぶん殴れる環境には来たと思います。
次回から本格的に学園戦争が始まります。
もし気に入ってもらえたら、また次の話ものぞいてやってください。
尾賀は変わらず拳を振ってます。
感想、レビュー、リアクションくれたら拳突き上げて喜びます。