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隠形吸血姫、クラス転移で勇者達の敵になる?〜いえ、戦力差が過ぎるので私は旅に出ます!〜  作者: 白ゐ眠子
第四章・出会いと再会に驚愕。

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第79話 吸血姫は清掃業者となる。


 ともあれ、一通りの人員確保が出来た私は、その者達に一旦待機を命じ再誕工房で眠ってもらった。そして、無駄に時間が余っているという事でフーコ達一同に提案した。


「とりあえず話題にも出たし、隣の区画に車庫があるから行ってみる?」

「行く行く!」×5


 まぁ反応だけは上々よね?

 私達は再誕工房を出て隣の区画にある車庫へと歩く。そこには自動車を始め、各種車輌が配置されていた。流石に戦車はないけどね?

 あっても大型四輪駆動車にキャンピングトレーラー、自動二輪に自動三輪だけで他は原付とか自転車だったりする。

 ただ、この瞬間は大絶叫というか大興奮の嵐が発生し私は一人タジタジであった。


「な!? なにこれ!?」×5

「なにこれって各種陸上用の乗り物だけど?」

「二輪とか三輪って、私乗れるんだけど?」

「サーヤってば単車好きで自動二輪取ってたもんね?」

「普通自動車も取ってるよ! 初心者だけど」

「まぁ異世界の免許制度はともかく、乗り慣れた物があると行動範囲も拡がるでしょ?」

「う、うん。で、でもこれって?」

「言いたい事は判るわ。基本は魔力式の電動車輌だから音も無く走るの。そのうえで馬に偽装する事も可能だから」

「盗難対策もバッチリと?」

「ええ。これも〈スマホ〉が鍵だからね? 私達の〈スマホ〉は個々の血液が鍵だから、仮に取り忘れて無関係の者が乗ったとしても、瞬時に限界ギリギリまで魔力を吸引して動力部の魔石に蓄えるから」

「走り去る前に潰れると?」

「そういう事ね? それは勇者達しかりだから誰も乗れないわよ?」

「誰も乗る事なく魔力切れでブチキレそうね?」

「まぁ蹴ったそばから骨が物理的に折れるし、剣で切りつけても折れるからね? これらの大半は常時積層結界で(おお)うし。自転車はドラゴンの攻撃でも壊れない金属しかないけど」

「なるほど。積層結界は世界最高硬度を持つ柔軟性のある結界だから」

「ええ。ある意味で空間を切りつけてるようなものね・・・あれだったら数台だけ外に出してみる? 前の区画にエレベーターを設置してるから」

「!? じ、じゃあ、自転車で」

「私は原付で!」

「ま、まぁ、そうなるわよね? 甲板で走り回れるのはそれくらいだし」


 という事で16インチの自転車と原付をエレベーターに乗せて後部甲板に出た。

 ただ、後部甲板の一部が下がった事でその場に居た男子達は目が点となっていた。


「なぁ? サーヤが乗ってるの自転車だよな」

「ああ。隣でハルミが乗ってるのは原付だな」

「目の錯覚かと思ったけどマジかぁ」


 三バカ男子がきょとんとしたまま呟いた。

 それを聞いたサヤカが大興奮のまま男子達のそばに駆け寄る。


「マジもマジよ!」


 すると、タツトが(いぶか)しげながらも問い掛ける。


「もしかしてだが、自動二輪も?」

「もちろん! お姉ちゃんが、いえ、私も乗りたいと思ったもん!」

「そうか・・・俺も免許持ってるから乗りたいな・・・」

「台数的には問題ないみたいよ?」

「!? そうか! それは楽しみだな!」


 タツトはそれを聞き大いに喜んだ。

 しかし、ここからが本題であった。

 サヤカは声を抑えめに変え、男子達に呟く。


「それとさ? クラス委員長・・・垂涎(すいぜん)の乗り物も五十台ほどあったよ?」

「「「「マジで!?」」」」


 男子達は驚きのまま「どこにそんな物を・・・」と呟くので最後はフーコが苦笑しつつも補足説明を行っていた。


「ま、亜空間庫の車庫だからね〜。船の大きさに惑わされない方がいいよ?」


 ともあれ、残りの時間は暇つぶしという名の試乗会である。船内で色々やっていた面々も呼び出されて後部甲板に集まり、一通り乗って楽しんだ。後部甲板の海側には鉄柵を設けているので落ちる心配は無いし、それぞれに余暇を楽しんだようだ。

 すると、上から戻ってきていたリンスが疑問気に呟いた。


「こんな乗り物があったのですね〜。上では見た事がありませんでしたよ・・・これも異世界の?」

「ええ。そうよ・・・もっともかつての勇者達でさえ作る事が困難な代物だから、無くて当然だけどね? よくて女神様の手助けで用意出来た通信魔道具が関の山だから」

「なるほど。だから見た事が無かったのですか」

「まぁね? 女神様も車輌自体は知ってはいたけど仕組みまでは知らなかったらしいから」


 そう、ミアンス達は自動車にせよ自動二輪にせよ知っていたのだ。どこで見知ったのか知らないが自動二輪を動かす際には僧衣からツナギに着替えスムーズにギアを入れて走り出したのだから慣れ過ぎ!? と思ったほどである。

 ただ、言葉の通り内部機構までは知らなかったようで構成を説明するとフムフムと(うな)ってメモ書きしていた・・・おそらくどこかしらで作るつもりなのだろう。

 アップルパイの時同様、知らない知識には驚くほど貪欲なのだから。

 

「そうそう、自転車に限ってだけど・・・この場に数台だけ置いておくから身体を動かしたい者は乗っていいから。ただし、海に落としたら即座に転送魔法で拾う事!」

「判りました!」×28

「・・・コクリ・・・」




  §




 そんな余暇を過ごしていた一幕の後、待ちに待った夕食である。今晩は昼間に獲った魚料理のフルコースであった。流石は料亭の娘であるレリィとレイの手料理である。

 ニナやルイもニーナやルー同様・・・否、元々が同一人物だから料理が出来て当たり前だが。


「たーんと召し上がれ! 献立は刺身、寿司、どんぶり物、考えられる品物を用意したから飽きるまで食べてよ!」

「いただきまーす!」×29


 レリィの音頭の元、私達は(いただ)いた。


「う〜ん、プリップリ! サーヤのお尻みたい」

「フーコ!? 人のお尻を比較対象にしないでよ!? まぁ判るけど・・・」

「とろける〜、脂身がすごいとろける〜」

「葉ワサビがワサビになってる!?」

「それ、さっき採ってきたの。下手に色々触るより放置してたら、自然に育ったのよ」

「ユウカ、ありがとう〜。うーん! このツーン! が良いわ〜」

「海鮮丼・・・夢のようだわ、勇者辞めてよかった・・・」

「私達、人も辞めてるわよ? アコ?」

「そうだった! ココの言う通りだった!」


 料理の感想は多種多様であったが等しく満足気であった。すると、レリィは申し訳なさげに一言添える。


「流石にフグはないけどね? 対毒無効があっても調理では処理出来ないから」

「それは仕方ないわよ。一応、この場の全員が同じ耐性を持ってても調理の知識が無いと難しいものね。この世界でもフグは調理しない魚となってるし」


 しかし私はそんなレリィを励ますように(なぐさ)めた。レリィは不甲斐なさがあるのか少々辛そうだった。


「ありがとうございます」


 だが、食べて忘れる選択肢もあるので私は食べる事のみを(うなが)した。


「まぁそれはいいからレリィも食べたら?」


 レリィも最後は苦笑しつつも答え、どんぶりを満足気にかき込んでいた。


「はい、(いただ)いてます」


 一方、三バカ男子達とタツトとナギサはというと──、


「異世界に来て諦めていた刺身だ〜」

「この世界って生は絶対食べないものなぁ」

「海鮮丼とかいつ振りだろう? 旅館のバイキングで思い思いに作った日以来か?」

「だな! 旨い旨い・・・モグモグ」

「大変、美味しいです」


 大感激ののち・・・日頃のウップンを吐き出すかのように、かつての仲間に報復を!

 という会話が突発的に出た。


「それと、ワサビ! ワサビだけの寿司をクラス委員長の口に!」

「具もシャリもワサビだけで口の奥に転送してやりてぇ!」

「わかるぞ! 俺もやってみたかった! 旅館ではワサビの塊は用意出来なかったからな!」

「それだと・・・口の中の風味がずっとワサビになりそうだな」

「ま、まぁほどほどにね?」


 それはタツトでさえ賛同するようなもので、ナギサは終始苦笑していたが。

 すると、ユウカがニコニコと椅子にさげたバックから緑色の濃い素材を取り出した。


「それなら、こんな物もあるよ? 〈イビル・ワサビ〉っていう見た目は同じだけど辛み成分が倍以上となった素材でね? 主に気付(きつ)け薬で使う物なの。どんな人でも魔物でも()ぐだけでイライラする代物で一度口にすると口内に匂いが半年は残って常時魔物を怒らせる役になるという・・・ある意味で処刑用途の素材なのね?」


 すると、ユウカのニコニコ説明を聞いた三バカ男子達は急にトーンダウンした。


「そ、それはまた」

「辛みも倍って事か」

「一種の魔物寄せか?」


 ユウカはイヤなことでも思い出したのか、たたみ掛けるように続きを語る。


「削るのも結界内で行えば問題ないよ? 一番効果を得やすいのは削った直後の物だから」

「面白い! それを奴の口に放り込めば、魔物に追われる車バカの誕生じゃないか!」


 タツトはユウカの説明を聞き、大満足という様子であった。


(この二人なに気に息が合いすぎでしょう?)


 私は別の意味で苦笑した。

 ユウカも割とドSな気があったらしい。

 ショウからの百合プレイ時は総受けであっても、基本は私と同類のようだ。

 ともあれ、そんな報復合戦の空気はいっときすれば落ち着き、その後は静かな空気で(いただ)いた私達であった。これもリンスのひと(にら)みで黙ったともいうが。

 それは〈お食事はお静かに〉という意図が含まれていた(にら)みであった。

 現役お姫様には誰も敵わないらしい。

 ただ、その後のユウカはワサビをタツトに手渡し、両者共が人の悪い笑みを浮かべていた。


(ほうほう。ユウカは小規模自動車会社の社長令嬢だったのね? それで奴がなにを思ったのか、ある事無い事、嘘を風潮して潰したと。あとは・・・奴が同じ中学の同級生だった事でその事実を知った跡継ぎの長男が怒り狂って性的虐待を受けていた・・・か? たまたま同級生だったというだけで受ける話ではないでしょうに。これも誰かの所為(せい)にして逃げるという病だった・・・親までユウカの所為(せい)とするとか、流石にやりきれないわね?)


 結果、私はユウカが意図的に垂れ流す思い出を読み取り、見なかった事にした。誰であれイヤな事の一つや二つあるのだ。ざまぁで気が休まるなら落ち着くまですればいい。


(どのみち・・・車舎総次(くるまやそうじ)は剥奪者という扱いになるでしょうけどね?)


 そう、魔力量が最大であっても勇者とかけ離れた行為を乱発するバカなのだ。


(扱いとしては、禿馬(はげうま)と同等の指示が・・・飛んできたわね)


 それはついにというか、なんというか『本土で出くわした時に処罰せよ』とアインスから剥奪指示が出てしまったから。





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