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隠形吸血姫、クラス転移で勇者達の敵になる?〜いえ、戦力差が過ぎるので私は旅に出ます!〜  作者: 白ゐ眠子
第十二章・異なる世界の休息日。

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276/276

第276話 愕然と国を眺める吸血姫。


 ここからは本日の勇者召喚を終えたユインスがお送りします。いやー、もう止めてぇ!?

 という心の叫びを隠しつつお送りします。


『ユイちゃん、相当参ってるねぇ』

『マイが労ってあげたら? お尻出して』

『それは、ちょっと、ごめんなさい』


 背後では姉上と妹が良からぬ会話を行っていますが、二()は無視してもらっても結構です。

 いつもなら単位が足りないと言って補習に尽力している二()ですが、今は姉上が来ているからか気になって降りてきたようです。

 私は全ての単位を取得したので通学しなくても良くなりましたけど。ええ、現役の女子高生ですしね、私達も⦅何ですってぇ!?⦆姉上が様子見しながら驚いていますね。

 それはともかく、今から見るのは魔族領へと赴いているルーナ達の動向ですね。

 姉上の方からでも見る事は可能ですが、


『こちらの方が詳細が見えるもんね』

『伊達に管理室って呼ばないもんね』


 私達の方からは宮殿内も見られるので、今からルーナ達の動きを追ってみようと思います。

 現在のルーナ達は魔族の住まう国、その宮殿に繋がる逃げ道を遡っているようです。


「本当にこんな洞窟から向かえるのか?」

「問題ないよ。裏から向かう時はね、ここの」

(かんぬき)を組み替えるだけでいいのですよ」

「ほへ〜、(かんぬき)がパズルになっているのか」


 通常であれば周囲の結界で阻まれますが、そこは勝手知ったる者にとっての抜け穴そのものでした。

 元々、こちらの世界の写しが地底世界ですからね。これも異なる方法を選択する必要性が無かっただけといいますか、地底から知っている者達が昇ってくるとは誰も思わないでしょう。


『思わないね〜』

『思わないよね』

『それが結果的に掃除に繋がるなら』

『放置していて正解だったわね』

『本当にね〜』

『放置していた私のお陰だね!』

『はいはい』×5


 いつの間にやら他の妹達も訪れましたね。

 あちらの仕事は・・・いいみたいですね。

 その後のルーナ達はパズルを無事に組み替えて宮殿内へと入っていく。あれも失敗したら死滅が訪れる類いの鍵でしたけど、元々生者が対象なのであの三人には影響外だったようです。

 すると三人はこそこそと話し合いながら、


「そして、この非常階段を上ると」

「ああ、玉座の背後に出てくると・・・」

「それで魔王様は居るかな?」


 玉座の背後で謁見室の様子を眺めています。

 魔王の背後で平然と会話するのは相当な話ですけどね。これもレベル的には『三人の方が軽く超えているね』だから気づかれていないと。

 レベルの概念が無くとも、強者の風格が顔を出すと。そうなるとこれはそれでしょうか?


「いらっしゃいますね。玉座に座ってぼけっと天井を見上げて」

「これって気づいてる?」

「例の話かな? 神格ある者が何故か分かる」


 神格ある者が分かる。

 確かにそれもありますが、この場合は異なるでしょうね。上空にはレベル2000の大物が居ますから戦ってみたいと思っていそうです。


『強者の風格、それと神格もあって?』

『姉上が地上に降りたら騒ぎになると』

『生神だけでなく時空神でもあるしね』

『母さんが素っ裸で街中を歩くような』

『カナの例えは悪いけど、そんな感じ』

『かもしれないわね? 悲しいことに』


 姉上の滲み出る風格。

 それが脳筋魔王の戦欲に火をつけたと。

 それであっても瞬殺されてしまうでしょう。

 伊達に命の扱いに長けた者ではないですし。


『瞬殺させて蘇生までやりそう』

『絶対そこまですると思う』×5


 それは私も思いました⦅無駄な死は与えないわよ!⦆おっと、姉上から説教が飛びました。

 その間のルーナ達は、


「人族領の公国で魔族大陸を狙う愚者が大発生中、早急に殲滅を願う。別世界の魔王より?」

「これで通用すればいいけどね?」

「ルーナ様は元魔王では?」

「この際だからレーナの名前を借りてみた!」


 魔王の背後で一通の手紙を認めていた。

 そして玉座の脇にあるテーブルに手紙を置いて様子見を続ける。


「あ、手紙を手に取ったよ」

「何か、首を傾げているけど?」

「字が読めないってことはないはずですが」

「ルーナ様の文字が汚いからじゃ?」

「うっ」

「帰ったら文字の練習もしなきゃですね」

「そんなぁ〜」


 その直後、魔王は玉座から立ち上がり自身の持つ魔力を急速に練り上げる。魔力品質も最大で変換し陰詠唱と共にボソッと鍵言を発した。


「今の聞こえた?」

「ああ、絶対重圧と言っていたな」

「重圧・・・重力圧殺でしょうか?」


 三人にはそのように聞こえたのですね。

 正式な鍵言は別にありますが、これは翻訳の関係もあるのでしょう。魔王の発した姉上作の始原魔術は、魔族大陸の東の端に顕現し海を飛び越えて敵勢国家の上空へと降り注ぎました。


『わぉ!?』×2

『公国が極大重力圧殺で粉微塵だぁ!』

『これで召喚が落ち着けばいいけどね』

『そうね〜。落ち着けばいいけどね?』

『ユイの幸運値に変化があればだけど』


 ユナが不穏な事を口走っていますが、無事に問題国家の殲滅が叶いましたね。折角呼び出した異世界の勇者達諸共国家が消えて亡くなりましたが、これはこれで仕方ないでしょう。

 呼び出す際に、人格に問題がある者を選びましたし。私の良心も痛む事はありませんしね。

 自分勝手な男達、他人を平然と踏み台にして商売する経営者、結婚詐欺を行う鬼女とかね。

 他の国々は偶々外に出ていた、姉上が気にしている女ドワーフが助けたみたいですし。


『よーし! あの子に与える魔眼を決めた! あとで姉上の力を借りてくる!』

『ああ、姉上の被害者がまたも増えるのね』

『あの魔王にも部下にも与えていたよね?』

『お尻ペンペンと引き換えに力を借りると』

『お尻ペンペンの前にガーベラ挿そうか?』

『そうね、挿してあげたら落ち着くかもね』

『ちょ、さ、さ、挿したら、ダメェ!!?』


 こちらの件はともかく、ルーナの手紙に応じた魔王は玉座に座り直してボソッと呟いた。


「文字が幼女だったな。あれは一体誰が書いたのやら?」


 それはボソッと呟かねば誰かに聞かれてしまうからだろう。魔王の持つ性癖、それが周囲に露見するのは大変危険な事だから。

 なお、幼女の文字と聞かされたルーナ達は、


「か、帰ったら、文字の練習する!」

「そうですね。汚いままだから幼女と」

「思われたんだもんな。頑張れ、ルーナ様」


 逃げ道を通って外に向かっていた。

 その間の話題は少々可哀想な話だったが。




  §




 魔王に丸投げした結果、


「あ、あんな魔術を易々と熟すとは・・・」

「人族共もこれに懲りて敵対を選ばなければいいけどね」


 私達が愕然とする現実を示してきた。

 私も同じ魔術を撃てない事は無いがシオンが絶叫するのでこれを選択する事は無いだろう。

 なお、その後に申請が届いたので即拒した。

 そうして魔力拡散が起き、重力的な歪みが解消された頃合いに、地上の様子が見えてきた。


「消えたのは一国だけ。ただ、海外に渡航中の公子と恋人が共に生き残っているから?」

「国として終わっても再興するでしょうね」


 木々は潰れ、民達も肉塊へと成り果てた。

 王宮は崩壊してあちこちから流血が流れる。

 それは王都でも同じであり、このまま放置すると無駄なアンデッドが湧きそうに思えた。


「それが何年先の話か分からないけど?」

「おおよその時期は分かるから、再興前に問題の術陣だけ回収に向かえばいいわ。あの重力圧殺が起きていても、術陣だけは残っているし」

「あの魔術でも消えないって事は?」

「ええ、三女のやらかしでしょうね、あれも」


 私はマキナに応じながら、タブレットに触れて遺体還元魔法を公国上空に展開した。


(魂魄はそのまま保留水晶へと移行っと。シオンが泣くから糧にした方がいいでしょ・・・)


 これは衛星神器経由で発動する、このコロニーが持つ機能の一つだ。魔法を魔術に変換したうえでの行使なので問題は起きない。仮に生者が居た場合は完全に治療する機能も有する。

 神の御業と大騒ぎしそうな気がするけどね。


⦅生神様が降臨したとお触れが出てます⦆


 い、いつのまに? まさか先日の件?

 あ、イエスって帰ってきた。レベルの概念が無いから鑑定魔術で弾かれる事すら無いのね。


(これは鑑定を弾く魔具を創るしかないわね)


 例え神器となろうとも、身を守るためには必要な代物だから⦅私達にも下さい⦆はいはい。





諸事情によりしばらくお休みします。

申し訳ございません。

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