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隠形吸血姫、クラス転移で勇者達の敵になる?〜いえ、戦力差が過ぎるので私は旅に出ます!〜  作者: 白ゐ眠子
第十章・氷結大地に植樹しよう。

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第221話 暇つぶしで造船する吸血姫。


 一先ず、合流したウタハ達を上界へ置いてきた私はその足で亜空間の造船所へと移動した。


(熱い姿を延々と見せられ続けるのも辛いし)


 この場は造船所といいつつ、置かれている物は一番船と二番船、従来のクルーザー、横たわらせたロケットの躯体やら大型の代物が多い。


「急に暇になったし造りかけでも触りますか」


 この場に訪れた理由は単純。

 竜骨として存在している三番船の建造だ。

 今までは全て三胴船(さんどうせん)で建造していたが、


「空気浮揚艇で海と陸を継続的に進ませる方がいいわね。本日の進み具合から考えて」


 三番船からは船首以外の底部が局所的に平面となった。部分的に三胴船(さんどうせん)ぽくも見えるけど。

 一応、無限軌道を側面部と底部に設けるけどね。浮上時と海上では積層結界で全て覆われて陸上の移動時だけは表に出てくる的な。

 これもいちいち大型から小型に乗り換える手間を考えて、この手の船が必要に思えたのだ。


「氷上国を救ったあとは陸路で各地のゴミを片付けないといけないしね。それに、大型の高速移動の船舶とか、一種のロマンでもあるし」


 それを三女に語ると⦅分かる!⦆と賛同を得たのよね。あの子も大きな船舶が好きみたい。


「変形機構を設けたりするのもアリね」


 実際にその手の可動域を設けると保守が大変になるから設けるつもりは無いけどね。

 そうしてゴソゴソと各部の図面を引きつつ必要な部品を一人で全て組んでいく。

 準備から組み立てまではおよそ三時間強。

 ここは時間加速結界で覆った一角なので内部時間で言えば三年強の時間が過ぎているが。


「あぁ夢中になりすぎてとんでもない代物が出来たわね。まさに陸上艦だわ」


 造った自分でもびっくりした。

 思うがままに造り込んだら、とんでもない代物になったから。一つは当初の予定通り底部へと無限軌道と整地機能を設け、浮上時は無限軌道に貼り付いた土壌と異物を魔力還元で消し、還元魔力で積層結界を常時覆う物とした。

 ここに魔族と眷属が居た場合は上部へと強制転移させるけどね。人族は消滅コースだけど。

 海上の進み方は水流と風力を使い分ける。

 陸上は無限軌道と風力だけになるが。

 大まかな内観図を表せば以下となる。


 ───────────────────

 上層上部は前後左右に窓付の監視台等。

 上層中心に短距離滑走路とエレベーター。

 一応、アレスティング・ワイヤー付き。

 上層下部前は船橋と戦闘指揮所。

 上層下部後は偵察機格納庫とエレベーター。

 射撃訓練区画は格納庫内に移動させた。

 船体上部内側は講堂と会議室等。

 船体上部外側は一等船室と船長室等。

 船体中部内側は食堂と厨房、風呂と医務室。

 船体中部外側は二等船室と、三等船室。

 船体下部は船体動力源と飲み水タンク等。

 各トイレは上中の全てに存在する。

 船体後部上は亜空間式の大型倉庫。

 船体後部下は亜空間式の大格納庫。

 船体底部はバラストと無限軌道の動力源。

 ───────────────────


 なお、廊下の形状だけが若干変化した。

 それは主に十字形状からO字形状にだ。

 廊下の前部左右へと二つのエレベーター。

 廊下の後部左右へと二つの階段を設けた。

 これは前部が船橋へと向かう手段だから。

 後部は格納庫へと登るための手段となる。

 船橋と格納庫は廊下で繋がっているけどね。

 バラスト部を除くと船体前部は三層構造ね。

 そして主な兵装仕様は以下となる。


 ───────────────────

 上層左右に設置した全艦砲を電磁投射砲へ。

 上層左右にミサイル管と艦砲と交互設置。

 二番船にあった大型電磁投射砲はお蔵入り。

 上層前後左右にはバルカン砲を隠蔽中。

 例の主砲と魚雷発射管も従来通り装備済。

 肝心の弾薬は全て亜空間庫内に収めている。

 ───────────────────


 全ての弾薬庫が無くなったため、大型倉庫の場所が確保出来た。船体の大きさも従来の大型帆船と同程度に収まった。超大型からのダイエットが成功した感もあるわね⦅ユランスのダイエット⦆肥っていたの⦅肥ってません⦆そう。

 侵入防衛手段の亜空間門は継続設置だけど。


「滑走路が短くなった分、各偵察機を垂直離着式に改良しないといけなくなったわね。あれもエンジン金具を可動式に弄るだけでいいけど」


 改良版を⦅欲しい!⦆と言ってくるんでしょうね、きっと⦅よろしく!⦆言ってきてるし。


「船体色が熱光学迷彩魔法で隠せるようになったのと完全遮音・ステルス性は一番船と二番船を超える性能になったわね。人払い効果のある〈希薄〉だけでは隠せない事も証明されたし」


 アンテナ兼用の魔神像は船首に移動させた。

 魔族から見れば魔神象。人族から見ればそれぞれが祈る女神像に見える特殊仕様だ。

 私は船体の詳細試験を行いながら、


「当面は白色迷彩で指定して、氷上国の回復度合いで色合いを変化させましょうか。陸を進む船というのもおかしな話だけど」


 呟いているとシオンが顔を出した。

 それはもう驚いている顔ね。


「本当におかしな話ね」

「あら、シオン。居たの?」

「あら、シオン。居たの? じゃないわよ。どうしたのよ、これ?」


 似てるわね。いや、似てるのは当然だけど。

 私はシオンが船に指をさすのであっけらかんと応じた。


「ああ、試験的に造ってみた船?」

「船って、底面に車輪が付いている時点で船ではないでしょ?」

「水陸両用だから間違ってはいないわよ?」

「水・・・そんな船、この世界には無いわよ?」

「ここに在るでしょ?」

「・・・」


 まぁ初めての水陸両用船だしね。

 シオンは沈黙しているが、仕方ないわよね。

 ここまで大型の物は異世界でも無いだろう。

 これも私だから造り出せた特殊船でもある。


「氷上国の問題が解決してから持ち込むから、楽しみにしていたらいいわ」

「そ、そうね、うん」


 シオンは如何ともし難い表情で造船所をあとにした。一体、何しに来たのやら?⦅マキナが探してますよ⦆マキナが?⦅夕食だそうです⦆あらら、それで呼び出しに来たのね。


「偵察機の改良は夕食後に行いますか」


 その後の私は全隔壁を閉鎖したのち、造船所をあとにした。全て閉鎖してないと、この空間にユランス達が訪れそうだから⦅ギクッ⦆ね?





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