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隠形吸血姫、クラス転移で勇者達の敵になる?〜いえ、戦力差が過ぎるので私は旅に出ます!〜  作者: 白ゐ眠子
第七章・面制圧と蹂躙戦。

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第159話 吸血姫は勇者達を眺める。


 (カナデ)を助けたあとの私達は王都周辺を探った。ショウの事も気がかりだが、今回は調査と称して一時離脱したため優先順位を変更したのだ。流石に滞在時間は短いけどね?

 私達は〈希薄〉したまま街を巡る。


「なんか賑わってますね」

「そうね。前はここまで活気は無かったわ」

「食材はそうでもないですが、金品とか装備品がかなりの数が出回ってますね?」

「これはどういう事かしら?」


 この時の私は先ほど見た王寺(オウジ)達の装備品を思い出す。私はあの手の装備品をどこかで見た覚えがあった。


「それこそ下界の商いみたいね・・・まさか!」

「今、商人がダンジョンがどうのって」

「もしかしてここにも?」


 案の定、ダンジョンが発見されたと耳にした。私は苛立ち気に知の女神を思い浮かべる。


⦅私は存じ上げてません!⦆


 念話が返ってきた気がしたが・・・ともあれ。


「可能性は高いわ。これだけの物品が出品されるのだもの。質としては低ランクだけど」

「ということは・・・農村部でも?」

「作物を育てるよりも生活が豊かになるわ。それが一時しのぎだとしてもね?」

「それで食材不足になり・・・」

「他の島に影響を与えていると」

「これだと罰した意味がないわね? 迷宮神はなにをしてるんだか・・・」


 いや、ホントに罰として農業を行わせているのに、資金源が出来たためにそちらに意識が向いたのだ。私は緑金髪紫瞳の女神を思い出しつつ愚痴ってしまう。

 直後、スマホに一通のメッセージが入った。


「あ、返事きた」

「「へ?」」


 ナディ達もきょとんとする反応。

 女神からのメッセージって相当よね?

 私は呆れながらスマホの画面を読み上げる。


「は? 設定をミスって未開島に置くはずのダンジョンを流刑島に設置した・・・だって。未開島ってことは開拓中の島よね。ミキに確認してみようかしら・・・は? 数日前にダンジョンっぽい洞穴が出来たけど中身になにも無かったって、あるわ。そういう事は報告しなさいよ〜」


 そのうえミキにも確認すると報告するほどの事でも無かったように返事が来た。


「女神様もミキもドジっ子なんですね」

「なんか親しみが持てる女神様ですね」

「ミキはともかく、先日来てたしね・・・エリスの身体を借りて」

「「あ! あの時の!?」」


 ナディ達は相手が誰か思い出したようだ。

 まぁ女神なんて滅多に現れないけどね?

 私はニナンスからの追加を読み上げる。


「えっと・・・踏破して閉鎖すればそのまま未開島に移行されるので時間が許す限りでいいから踏破して下さい・・・ねぇ?」


 私は多分・・・人の悪い笑みを浮かべていると思う。ナディ達もニコニコと笑っているし。


「踏破すればいいってこと?」

「このダンジョンってどの程度なんですか?」

「一島に一つ、レベル100指定」

「余裕で片付きそうな気がする」

「それは思った」

「下界のSランクダンジョンと同等みたいね。まぁ上界だとレベル100以上はごろごろ居るから同じとは思えないけど」

「レベル500以上がここにも居ますね?」

「200以上なら貴女達も含むわね?」


 という事で! 急遽だが各島のダンジョン攻略を行う事にした私達である。資金源を断ったのち元の農業に戻って貰わないとね!

 宝くじの期間はこれにて終了!

 ナディ達もナギサが居ないという事で口調がいつもの砕けた物に変わる。

 敬語って戦闘時には不向きだものね。


「まずは王寺(オウジ)達が消えていった場所に向かいましょうか。港の脇にダンジョンがあるのだと思うわ」

「というか35前後で踏破出来るものなの?」

「死に戻り可能なんでしょう。経験値も得られて一石二鳥とか思ってそうだけど」

「だから装備がザルだったのね・・・」

「死に戻りのペナルティーが無いからね」

「カノン、装備はどうする?」

「そうね? そのままでいいでしょう」

「ナディはそのままいく? カナデでいく?」

「そうね〜どうやって出た!? って思わせるのもありかもね? クソ兄の驚愕が見物だわ」


 こうして私とショウは黒髪黒瞳の人族の見た目に〈変化(へんげ)〉し、ナディはカナデに戻った。元々カナデなんだけど。

 そして空間跳躍(くうかんちょうやく)王寺(オウジ)達が死に戻りして休んでいる入口前へと移動した。

 当然、日本語で会話しながら。


「案の定、死に戻りを繰り返してるわね?」

上枝(カミエ)のバカっぽいところは相変わらずかぁ」

「中身は本人じゃないけどね? 人格もダンジョン攻略と同じで何度も死んでるし」

「洗脳魔法って恐ろしいのね〜」


 そう、私達が入口に差し掛かると──、


「俺達専用ダンジョンになにか用・・・か!?」

「「!!?」」

「???」


 ナディの姿を見た野郎共が驚愕で固まった。

 上枝(カミエ)だけはきょとんとしてる。

 というか王寺(オウジ)達専用って他の者達も潜ってるじゃないの?

 これは今が専用って意味かしら?

 ナディはニコニコと微笑みつつ応じた。


「これはこれはクソ虫共。邪魔だから石化して大陸縁に鎮座してなさい。勇者としての仕事はしばらく先だから〜」


 そのうえで石化魔法を無詠唱で行い、驚愕する王寺(オウジ)達をそのままの状態で大陸縁の一角に強制転移させた。しかも石化状態で経験値を取得させる特殊魔法を施して。

 この魔法はナディの経験とマーヤのスキルを応用してユウカが創造したものだ。しかも時間停止を使った石化であり、石化した期間が長ければ長いほど経験値が溜まるという代物だ。

 その強度も積層結界で覆われているため、風化での崩壊は無く、切りつけても壊れない。

 私の大太刀でなら破壊は可能だが、他の物なら逆に武器が壊されてしまうのだ。

 解除タイミングは外敵が来た直後だろう。

 キチンと勇者としての仕事を全うさせる辺り兄思いの妹だと思う私だった。他意はなく。

 それから数分後──、


『このダンジョンは踏破されました。繰り返します。このダンジョンは踏破されました。踏破後は即時閉鎖します。ご利用ありがとうございました』


 ダンジョン近隣でアナウンスが流れた。

 潜っていた民達は強制転移されて入口前で呆然としていた。私達はダンジョンから少し離れた場所へと戻された。これも暴動回避のためだろう。仮に暴動があっても瞬殺するが。


「あまりにも簡単過ぎた・・・下界の方が難しかったわね」

「あれで踏破出来ないって、よほど弱いって事だよね?」

「そもそも下限が100だから踏破する以前の問題よ? 35なんて入れませんって話だし」


 そう、簡単過ぎたのだ。

 私達が入った直後、そこがボス部屋だった。

 これもあえてニナンスが踏破させようとしてる風に見えた。設定をミスったから慌てて本来の場所へと設置するためだけに。

 一応、ドロップ品は貰ったけどね?

 使い切れないレベルの野菜が沢山。

 これも即座にレリィの食料庫へと転送した。





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