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隠形吸血姫、クラス転移で勇者達の敵になる?〜いえ、戦力差が過ぎるので私は旅に出ます!〜  作者: 白ゐ眠子
第六章・砂上の魔楼閣。

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140/276

第140話 吸血姫は王太子を助ける。


 それはカノン達が元王妃を救い出す少し前。

 私とリンスは南部の平民街を突き進む。

 途中でミーア達とすれ違いつつ、微弱な魔力経路から目的の者が居る場所を探す。


「結構、ウジャウジャと居るわね」

「昨日、表に出ていた者達以外にも潜入者が居たのですね」

「総数で言うと・・・万は入ってる?」

「そんなにですか!? 変装魔具なくして変装は出来ないはずでは?」

「そこは化粧で似せる手段を用いているのでしょう。髪色はともかく、他の見た目だけならなんとでもなるわ」

「なるほど・・・そういう技術を持っているのですね。人族も侮り難しですね」


 それは時折・・・見ただけでは判らない姿の人族が居たからだ。〈鑑定〉して初めて判別出来る者達で変装魔具に依存しない手法のようだ。

 まぁ見つけ次第捕獲してミーア達の側に時間停止させたうえで放置しているけどね?

 手慣れたユーコ達と違って彼女達は慣れていないから。今回、北門と西門にやり手を配置したからか東門と南門に人員の偏りが見えたの。

 これも北門と西門に面倒そうな者達が居たからだろうけど。他は雑兵でも多すぎるのよね?

 多分、眷属(けんぞく)達に経験値を蓄えさせるカノンの愛の鞭なのかもしれないわね?

 ともあれ、そんな他愛もない会話を行いながら、私とリンスは目的の場所へと到着した。


「ここは教会でしょうか?」

「魔神殿跡地という感じね・・・こちらは旧神殿であちらが新神殿みたい」

「旧神殿?」


 そう、そこは廃墟と化した教会だった。

 私はカノン同様に廃墟全体を時間停止結界で覆い、内部に仕掛けられた罠を魔力還元した。

 そしてリンスの問い掛けに応じつつ──、


「どうも・・・民の数が増えるに従って、区画整理したうえで移転したみたいね。当初はこの平民街に開拓民達が住まう場所があったみたい」

「それは先々代の?」

「ええ。彼の記憶ね?」


 奥へ奥へと進む。現時点で〈希薄〉を解き、姿を現した状態で奥へと突き進む。

 以前までならカノンと同じ事は出来なかったけど、今は同一の存在かってほどスムーズに行使出来ているのよね〜。お母様には感謝だわ。

 直後、執務室の床にて王太子を発見した。


「こっちは素っ裸・・・」


 するとリンスは直視したあと──


「目のやり場に困りますぅ〜」


 真っ赤な顔で反対に向いた。同族の異性が素っ裸だ。こればかりは仕方ないだろう。

 これが人族の男だとなんとも思わないが。

 私は他にも罠の痕跡がないか探索する。


「まぁ・・・男女の違いね。元正妃の方は貫頭衣を着せられていたみたい・・・素肌の上に」


 リンスは見慣れていない物なのか、布を作り出し王太子の下半身に被せた。


「そ、そうなのですね・・・」


 布を被せても自己主張するそれは・・・隠せていない生物のように思えた。こんな状態でも元気いっぱいなのは生存本能だろうか?

 なお、全ての筋肉は落ちガリガリという様相だった。青みがかった金髪は色味を薄くし頬も痩けていた。辛うじて生きている程度だろう。

 私は周囲と彼の肉体を清浄魔法で清め、異常物が残ってないか(そら)属性魔法で検査する。もし引っかかればなんらかの異常が見つかるから。

 カノンも同じ手法で元正妃を検査したしね。

 私は結果から問題無いと判断し──


「異常なし。とりあえず・・・」


 自身の血液を王太子に飲ませる。

 本当なら後ほどで行う処置だったが、貴賓室に入れるとしても現状のままだと対象外で弾きだされる事を思い出したからだ。カノンもその旨で元正妃を完全体に変化させていたから。

 するとリンスがきょとんとしつつ質問する。


「え? シオン様の血で大丈夫なんですか?」

「今は問題無いわ。前だったらなにも起きないけどね・・・」


 そう、前のままなら、なにも起きない。

 今は宿る身体が違うのだ。カノンと分かれる前の肉体そのものであり、単体で真祖という完全体だから。当然、カノンやマキナが先に行った再誕も可能だし・・・他にも色々出来るけど。


「そうなのですか?」

「ま、詳しくはカノンに聞きなさい。私だと余計な事まで喋っちゃうから」

「はぁ?」


 当面はあの二人が再誕を担当し、私は亡くなった者達の処置で大忙しだ。今も各地で死者多数って通知が届いて、絶賛放置しているから。

 これも一応、うろついていたとしても回収は可能なので後ほど纏めて回収する予定である。

 ともあれ、リンスは引き続ききょとん顔のままだが王太子の肉体は急激な変化を示した。

 肉体は筋骨隆々へ、顔立ちは厳つい物に。

 髪は青銀髪へ、今は見えないが目も碧瞳へと変化しているだろう。

 その直後、リンスが被せた布が弾け飛び──


「「!!?」」


 驚いたリンスは私の背後に隠れて怯えた。

 私は元気過ぎる王太子を眺め、ため息を吐いた。こっちも育つとか聞いてないわよ・・・。

 もしリンスが嫁ぐ事になったら・・・ねぇ?

 世代的に彼はリンスの甥っ子になるけど。

 私は仕方なく・・・、タツトが持つ(ふんどし)と同じ物を作り出し、内部へと収めた。布の表面には(ふんどし)専用の亜空間庫が存在しているので、どんな物でも隠れるという代物だ。タツトもその中に色々収めているようだが。

 そして、それなりに身形の良い服を着せていく。サイズも自動伸縮するのでどれだけ身体が大きい者でも着る事の出来る服だ。

 私は怯えるリンスを手招きし──、


「リンス・・・隠れたからこちらに向きなさい?」

「あ・・・助かりました〜」


 近くに寄せて抱きしめた。

 そして王太子が目覚める兆候を把握したので静かに待つ。

 すると、王太子が身じろぎし目覚めと同時にキョロキョロと周囲を見回す。


「ん、ん・・・、ここは? !? よ、嫁に!」


 うん。見回してリンスが視界に入るや否や驚きのまま「嫁」とか叫んだ。多分「余の嫁に」が正しいのかもしれないが。

 しかしリンスは満面の笑みでキッパリとお断りを入れた。


「大きな甥っ子には手出し出来ないので(女性にしか興味ないですし)ごめんなさい!」

「お、甥っ子!?」


 流石の王太子も驚き過ぎて固まった。

 リンスは驚愕で固まる王太子を相手にサラッと関係を明かす。拒絶の意を込めて。


「ええ。貴方の御父上が私と同じ世代になるので・・・ごめんなさいという事で」

「!!?」


 まぁね? リンスの祖父と彼の曾祖父は兄弟だから。先々代魔王が末っ子で、リンスの祖父が長男だったのだ。祖国の姫君という意味で、この国でも大事にされる由縁はそれである。

 その後、私達は王太子を引き連れて魔王城へと戻った。

 カノンも茫然自失の元正妃を連れており──


「わ、私が第二王妃・・・」

「ええ。元第二王妃が真祖化したからね?」

「・・・そんな、そんなのって・・・」

「まぁ。元気出しなさい。王太子は後にも先にも息子だから変わることはないわよ」

「うぅ・・・、わ、私が・・・」


 元正妃へと現実を突きつけて慰めていた。

 すると王太子は泣きじゃくる母に駆け寄りカノンに物申す。


「この痴れ者め! 母様をいじめるな!」


 それを受けたカノンは苛立ち気に私を睨む。


「シオン? 教育した?」


 王太子の睨みなど関知せず、殺気を王太子に向けて飛ばしていた。私はリンスと目配せしあっけらかんと謝った。それしか出来ないし。


「ごめん。忘れてた!」

「「はぁ〜」」


 カノンとマキナはため息を吐き、殺気で気絶した王太子を眺めた。元正妃は王太子が気絶した事に気づかぬまま、己が身を責めていた。


「私があのような輩に負けたばかりに・・・」


 どうも王都の視察中に決闘を挑まれたのだろう。その際に銀籠手で触れられ弱体化した。

 それが原因で王太子と捕縛放置を喰らった。

 というかこの王妃はなに気に武闘派らしい。

 気絶した王太子もそうだが、どちらも近接戦闘型のようだ。遠距離支援型の現正妃とは異なる手合いみたいね? それこそフーコに鍛えて貰えれば強くなるかも?

 いや、別の意味で鍛えられそうだけど・・・。

 それはそれで、繁栄に繋がるからいいけど。

 なお、第二王子と第一王女は王都ではなく別の場所で亡くなっている事が判明した。一応、耐性を得られたが・・・虫の息だったようだ。





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