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隠形吸血姫、クラス転移で勇者達の敵になる?〜いえ、戦力差が過ぎるので私は旅に出ます!〜  作者: 白ゐ眠子
第六章・砂上の魔楼閣。

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第124話 愛娘にタジタジの吸血姫。


 私はひとまずマキナに戻って貰う事とした。


『戻りは戻るって意識を持てば入れるわよ。後は自動的に枷が繋がるから』

『はい。お母様・・・戻る(うわぁ!? 突然過ぎる〜)』


 マキナは神装のまま肉体に収まったが、なんとか無事に連動が開始されたようだ。

 私はシオンに向き直り──


『久しぶりに出たら、すがすがしかったわ〜』


 話し掛けようとしたが、シオンは神装を脱ぎ捨て素っ裸で仁王立ちしていた。この姿の時は完全なエロフとなるため、改めて見た私はエロフとは言えないと思った。

 だが、気をつけるべきは肉体の扱いなのでシオンに注意した。


『これから先、同じように出る事が多くなるから、肉体から出たら亜空間庫に仕舞うようにしないとね?』

『そうね。不意に奪われる事はないとしても、あの子達を心配させる可能性も高いわね?』

『あとは身体強度が高いから色々壊す可能性も考えないとね?』

『なら、普段は神力でカバーするしかない?』

『そうなるわね・・・マキナも判った?』

「お母様? この身体なんです? もの凄い・・・魔力循環が速いんですが?」

『特性だって言ってたからね? 私達も戻るわよ(これまた・・・)』

『そうね。エロフの素っ裸もしばらく見納めかぁ・・・戻るっ(わっふぅ〜)』


 こうして、私とシオンも肉体に戻った。

 肉体の異常は見当たらないが分割された私達の神体に調整された事で順応具合が途轍もなく隅々まで身体を操れる全能感に包まれた私達だった。


(マキナが言うとおり循環速度が途轍もないわね・・・練って直ぐ射出も可能とか。許容量は・・・おぅ、(がい)まで増えてる。レベルは? は? 500ってマジ? つい先日400になったばかりなのに・・・これも肉体が合致した所為(せい)かしら?)




  §




 その後の私達は新しい肉体を慣らすため、外に出てファイア・ドラゴンを狩りに向かった。


「狩った狩った! この刀凄いわ〜。ユーマにあげた物より力の親和性が高いわね〜」

「お母様? 素手でファイア・ドラゴンがワンパンってビックリしましたよ?」

「というか、蹴りの一発で伸したんだけど・・・どうなってるの?」


 どうも肉体の骨格に秘密があるようだ。

 詳しくは聞かされていないが、三女が色々頑張った結果とだけ伝えられた私達だった。

 神核の複製自体はあちらの世界に保管してるから骨格情報などはそこから拾ったのだろう。

 私達は狩ったドラゴン素材を亜空間庫に片付けながら今後の狩りの仕方を話し合う。


「今なら素手で魔核を抜き取る事も可能ね〜」

「それよりもバカな盗賊を消し飛ばす事も可能じゃない?」

「それだと返り血を浴びない工夫が要ると思いますよ?」

「多分それは風魔法を併用すればなんとかなるかもね?」


 そして、ログハウスに戻りながら身体の汗を拭い風呂に入る。肉体形状は前と同じだが、アキ達同様、ツンツルリンになっていたのはそういう仕様という事にしておいた。

 薄い銀毛が消えたのは少し寂しい気分の私だったけれど。ただ、風呂場の物品もそのまま触ると壊す恐れがあるため、私達は神力を振るいながら余計な力が加わらないよう注意した。

 マキナも慣れるまでは手間が掛かっていたが慣れたら最後、身体の表層へと綺麗に(まと)わせてスムーズに行使していた。

 むしろ魔力よりも神力の方が扱いやすいと思っている風でもあった。

 私達は風呂から上がり、キッチンで軽食を取りつつ先々の事を相談するのだが。


「そういえば、シオンお母様は突然現れましたけど、お仕事は大丈夫だったんですか?」


 マキナがシオンに質問し──、


「眠ってる間に転移させられてたみたいね? 仕事と言っても相談だけだし」

「そうなんですね。それより、あちらの様子はどうなってますかね?」


 下界の面々が気になったようだ。

 私は〈遠視〉しつつ眷属(けんぞく)達の様子を探る。


「今のところ眷属(けんぞく)達に変化は無い・・・いや、私達のスキルとか耐性が刷新されたから、所々で混乱の渦中に居るみたい」

「あぁ・・・スキルはともかく耐性に無効系が増えたわね。雷撃耐性が消えてる」

「ですね・・・耐性が無効状態ですよ。精神干渉無効が変化して隷属無効に変わってます」

「神化した影響もあるでしょうね。それとスキルの中に〈相互念話〉が入ったわね。私達は生来の〈思考読取〉スキルが追加されてるけど」

「個別の相手との念話ですね。魔法による念話ではなく経路間での念話となるみたいですが」

「ミーア達はマキナを通じて私達と念話する感じかしら?」

「おそらくそういう扱いでしょうね・・・っと早速、説明を求むって来てますが?」

「誰から?」

「フーコですね・・・考えた事がレリィに伝わって怒られたそうです。『調理中に変な物見せるな!』って」

「どうせレリィの裸でも想像したんでしょ? ノーマルなレリィを百合に変える的な」

「・・・当たりみたいですね。一応、思考した相手に繋がるとだけ返しました」

「拒絶方法も伝えた方がいいんじゃない?」

「多分それをすると有事の際に困るから教えない方がいいわ。スマホを取り出せない場合もあるからね?」

「それもそうね・・・確かに危険だわ」

「念話経験のある私を含む元一組勢はすんなり受け入れてますが」

「慣れって大事ね・・・まぁ私達も使えない事は無かったけど」

「使う機会自体が無かったからね?」


 探ったら予想外の展開がアチコチで起きており、慣れた者は『そんなものか』と受け流し、慣れてない者はアタフタしていたようだ。

 シオンからすれば雷撃耐性が消えたとしてしょんぼりしていたが、隷属無効が入った事で余計な異物を送り込まれなくて済むだろう。

 もっとも神力で全身を覆っている現状では魔法的な転送は完全に弾かれるが。


 今の神力結界も慣れれば無意識に施せるようになったので、インパクトの瞬間だけ解放して消し飛ばす位は可能になるだろう。

 レベル400になったばかりのマキナですら討伐可能レベルギリギリでファイア・ドラゴンをワンパンで伸したのだから、討伐可能レベルとはなんぞや? という感じである。

 私達は願われた通りの検討会を始める。


「さて、眷属(けんぞく)達の事はこの際置いといて、当初の目的とは少し()れるけど〈マグナ楼国(ろうこく)〉の今後よね?」


 たちまちはユランスから得た情報をホワイトボードに記し〈遠視〉で得た現状をプロジェクターでホワイトボードに映し込む。

 映し出された映像には、ベッドで苦しそうに寝込む、薄い胸のダークエロフだった。


「対象は〈マグナ楼国(ろうこく)〉の姫君ですか・・・」

「ダークエロフの姫君・・・魔族国家に嫁いできた者が不治の病に冒されている・・・か」

「魂的には問題ないけど肉体に異常が見られるわね。それこそリンスの母上みたいな〈魔力欠乏症まりょくけつぼうしょう〉かしら」

「その可能性が高いですね。属性を診断する限り、従来のエロフ同様・・・光属性を持つ者となってます」

「となると、原因は闇属性ポーションかしら? 逆の属性だと毒性が付くから」

「可能性は無きにしも非ずですね」

「とりあえず〈寿命鑑定〉スキルで詳細を洗いましょうか・・・う〜ん、保って半年が妥当かもねぇ。症状は〈魔力欠乏症まりょくけつぼうしょう〉と〈魔力生成症まりょくせいせいしょう〉の併発ね。器が壊れて魔力が無限に溢れでる病と生命力を無制限に魔力へと変換する病が同時に発生しているわ。リンスの母上の時は閾値(しきいち)に一度だけ達して以降は吸血で凌いでいたけど、この病は際限なく変換するから質が悪いみたいね?」

「過去を洗うと・・・属性軽視した結果みたいね。人族達の常識が魔族やら亜人にまで浸透するのは遣りきれないけど」

「現状でも同じように闇属性ポーションをあてがっているわね? 治ると信じられているみたいだけど・・・毒を追加して殺そうとしてる風にも見えるわね?」

「パッと見はそうね。でも〈思考読取〉した限り、治療しようと躍起になってるわね。結果が見えないから最上級を用意して・・・寿命が三ヶ月縮んだわね」

「これって、仮に亡くなった場合は?」

「戦争もあり得るでしょうね? 魔族対ダークエロフ国家との戦争」

「たちまちはユウカ達を伴って内部に入るしかない?」

「それが無難でしょうね。人族風ではなく私達もエロフとして入るしかないでしょうけど」


 結果、私達の方針は決まり、急ぎ荷馬車(拠点)に戻った。

 なお、移動中の最中──、


「というかエロフではなくエルフですよね? お母様達?」


 マキナからツッコミを受けた私達だった。


「さ、さっきまで私達もエロフだったから」

「流石に仕方ないわよ? 久しぶりだったし」





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