第98話 襲撃 ①
『来たよ〜?五月、どうする〜?』
「どっちかな?暗殺犯?魔物?」
『ん〜、両方だね。暗殺犯は二組だね。』
「暗殺犯は一度受けておいて!それから確保ね。自決防止も宜しくね。魔物の方はどんな感じかな?」
『すぐ前まで来てるね。暗殺犯にぶつけてみる?』
「…………出来るの?てゆうか、勝てるのかな?」
『勿論!任せて!!』
「…………いや、一度暗殺実行させる。ここで一網打尽にして!」
『ラジャ!』
スノーが私から離れて結界を張る。いつもより、狭く強く。
そして、前に出てまだ見ぬ魔物に対峙する。
しかし、ここ、王宮だよ!?
正気か?
何を仕掛けて来るのやら。
私達の前を歩く案内の騎士が、何かを感じて立ち止まった途端に吹き飛ばされていった。
私達を遠巻きにしていた人々が多数、同じ様に衝撃で倒れている。
「あ〜、そう来たか〜?巻き添えお構い無しだね。王宮内で強力な爆発物とはね。」
伯爵様は、何故か平然としている。
まさか、予想していたなんて事は無いよね?
前方に開いた大穴を避けて少し下がると、後ろから斬りかかられた。
本当に、無法地帯かな?何でもありだね。
そのまま結界で受けても良かったんだけど、少しぐらい反撃しても良いよね?凄く腹立たしいし!
いつもの魔法陣を顕現させ、剣にして受けてそのまま跳ね上げる。賊は両手で振り下ろして来ていたので、剣を振り切って両腕とも切り落とす。
続いて二人同時に斬り掛かって来たので、剣を横薙ぎに払って二人共吹き飛ばす。
一度、やってみたかったんだ、ウインド系の派手な魔術。
後に続いていた賊が怯んだ隙に、
「スノー、お願い!」
『ん〜、ちょっと待って。こっちも来たから〜』
「わかった、伯爵様、これで暫く持ちこたえて下さいますか?」
私の剣を伯爵様に有無を言わせず押し付けて、スノーの後ろに駆け寄って…………




