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第97話 宮殿へ

伯爵様と共に、宮殿へ。

キャシーも一緒。

勿論、スノーとネーロも。


お迎えの馬車…………が来る訳もなく、ミーア運転のリムジンで。

魔物の氾濫が有ったせいで、ミーアは久々の出動のようだ。


表門で召喚状を提示して、車留めまで走らせる。

このような状況での召喚は異例のようで、確認でかなりの時間待たされる。

先触れを出しておいたのに、可及すみやかにと書いてあるから従ったのに、失礼ではないでしょうかね?

こんな事を思うのは、不敬なのかしら?


もう帰ろうかと思ったほど待たされてからやっと案内人が現れた。

キャシーとミーアはここで待機。

ネーロを護衛代わりに残してく。

ミーアが車の中で待機すると言い出したので、ここは見張りも居るから安全でしょうからドライバー待機場所にキャシと一緒に居るようにと言い聞かせる。

あの「事件」はトラウマになっているようだ。


案内の騎士が付いて、伯爵様と共に宮殿の中を奥へ奥へと歩いて行く。

スノーは姿を隠しながら私のすぐ後ろに付き従う。

ここで私達が襲われるような事は無いと思いたいけど、暗殺実行犯はまだ全員確保してないから用心しないとね。


『スノー、周りに悪意を持った者達は居るかしら?分かるかな?』


『ん〜?いっぱい居るね。数え切れない程。それとかなり強力な魔物が近付いて来ているね。排除する?』


『襲ってきたらね!こちらからは先制しないでね?ネーロ、そちらの方はどうかしら?』


『こっちも酷いよ。リムジンを離れたら、直ぐに車に細工されてるね。かなり強力な爆発物仕掛けられたよ?ちなみに、プライベートジェットに仕掛けられた爆発物と同じ種類だね。

排除しとく?』


車留めの見張りは役立たずか共犯か、どちらでしょうかね?ミーアの方が正しかったよ。


『無効化だけ出来るかな?』


『お安い御用で。実行犯は確保する?』


『まだ待って。特定して何時でも拘束出来るようにしておいて。出来れば指示役を確認しておいてね。あと、リムジンのドラレコ以外に細工の状況を再現出来るようにしといてね。ドラレコのメモリーもバックアップしといて。』


『ラジャ!』


先触れを出したせいで、車留めで待たされた時間で暗殺準備の時間を与えてしまったみたいだね。

これで暗殺事件の黒幕と実行犯が、王宮内に居ることまでは確定だね。王族まで関わっていたらどうしようかな~?

迂闊に反撃出来なくなってきたね。

まさか、女王様は関係無いよね!


溜息が出そうになるのを、何とか我慢して歩き続ける。

途中で案内の騎士が交代するようで、引き継いだ騎士は豪華な装備の女性騎士だった。


更に奥へと歩かされる。

離れた所から、チラチラと視線とヒソヒソ話を感じる。

悪意をぶつけられているのが私にも判る。

不愉快だし!


『スノー、途中で悪意を向けてきた連中とヒソヒソ話の内容をを全員個別に記録しておいて。後で仕返しするから!』


『表門入るときから記録してるよ〜?結構酷く言われてるね。』


やっぱり、来なければ良かったよ!

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